アスクル岩田社長、怒りと困惑の記者会見 ヤフーの強硬手段は「全てが不可解」(2/2 ページ)
親会社のヤフーと対立しているアスクルが記者会見を開催。ヤフーから退陣を求められている岩田彰一郎社長が登壇し、「全てが不可解」と怒りをあらわにした。岩田社長の退任は避けられない見通しだが、「他に解決の糸口がないか話し合っていきたい」という。
今、LOHACOを切り離すのは自社の利益にならない
ヤフーがLOHACOの譲渡を求めていることに対しては、「ヤフーは、ソフトバンク傘下として、『中国Alibabaのように通信・EC・ビッグデータを結び付けた事業を実現させる』というビジョンを実現しなければならず、その立場は理解できる」「ネットの技術だけでEC事業は運営はできないため、アスクルが持つ物流力、オペレーション力、サービスなどは、ヤフーにとって必要なパーツであると思う」などと一定の理解を示した。
だが、物流事業の成長においてはBtoB、BtoC、ECの“三位一体”をそろえることが重要であり、アスクルにとって欠かせない事業であることに変わりはないとし、「このままでは乗っ取られてしまう」「今、LOHACOを切り離すのは(自社の)利益にならない」とあらためて語った。
恥をさらしてでも、再任反対が正しいのか問う
17日には、かつてアスクルを設立し、09年まで親会社だった第2位株主のプラスも「ヤフーの考えに賛同し、岩田社長の再任に反対票を投じる」との声明を公表した。ヤフーとプラスの議決権を合計すると過半数となり、岩田社長の退任は避けられない見通しだ。
窮地に立たされている岩田社長だが、会見では自身の進退について「60%の株主がそう言っているのであれば、あらがうことはできない。ただ、上場企業の社長は公職で、会社は公器。先方からは『晩節を汚さない方がいい』などとの言葉もあったが、恥をさらしてでも、(議決権の)行使が本当に正しいのか、コーポレートガバナンスの面から問うていきたい。いままで一生懸命、一緒にやってきた関係なので、他に解決の糸口がないか話し合っていきたい」と述べた。
株式の売渡請求権の行使を検討
アスクルは7月12日に業務・資本提携関係の見直しについての協議を申し入れたが、ヤフーは17日に拒否すると発表している。アスクルは引き続き、提携解消を求めていくという。
また岩田社長は会見で、一定の条件を満たした場合、アスクルがヤフーに株式の売渡請求権を行使できることを明かした。アスクルは今後、早急に検討を進め、8月2日の定時株主総会までに行使するか否かを決める方針だ。
アスクルが現体制を維持するには、売渡請求権の行使が最後の手段となる。同社が今後、どのような手段を講じていくのか、発表が待たれる。
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