ヤフー、アスクル社長会見に反論 “LOHACO乗っ取り説”など否定 「黒字化に向けて協力する」(2/2 ページ)
ヤフーが、アスクルの岩田彰一郎社長が記者会見を開き、共同運営するECサイト「LOHACO」事業を「このままでは乗っ取られてしまう」と発言した件などについて、反論のコメントを発表した。譲渡を打診したのは事実だが、アスクルの主張を受け入れており、「今後は譲渡を申し入れる方針はない」という。退任を求めている岩田社長の後任人事などについても言及した。
「アスクルのもとで運営するのが最良」「黒字化に向けて協力する」
ヤフーは、アスクルによる「LOHACOは譲渡しない」との結論を了承しており、現在は「LOHACO事業はアスクルのもとで運営していくことが最良」だと認識。今後は「LOHACO事業の黒字化に向けて最大限協力していく」という。
また、会見で岩田社長は「退任を求められているが、後任人事について言及していない」とヤフーを批判。退任要求などにより、「アスクルの上場会社としての独立性が損なわれている」と述べていた。
ヤフーは今回、この発言に対しても反論し、「アスクルの現取締役兼COO(最高執行責任者)である、吉田仁氏または吉岡晃氏が代表取締役社長に就任すると考えている」「同社長の再任が否決された場合は、引き続き、新経営陣とアスクルの意向を尊重する」とコメントした。
ヤフーは一連の主張によって、「アスクルからLOHACO事業を奪う目的で岩田社長を退任させ、ヤフーに忠実な人材を後釜に据えるつもりでは」といった見方を明確に否定した形だ。
ヤフーのコメントを概観すると、同社はあくまで業績悪化に伴う経営トップの交代を求めており、要望がかなった場合はアスクルの支援を続けていく――との意向が読み取れる。
岩田社長は「恥をさらしてでも、再任反対が正しいのか問う」「いままで一緒にやってきた関係なので、他に解決の糸口がないか話し合っていきたい」としていたが、ヤフーの主張をどう受け止め、どういった手を打つのだろうか。今後の動向を注視したい。
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