社長交代が迫るアスクル、社外取締役らがヤフーの「ガバナンス無視」を徹底批判 対立泥沼に(2/2 ページ)
アスクルの社外取締役・社外監査役からなる「独立役員会」が7月23日に記者会見を開催。同社が親会社のヤフーと対立している件についての見解を発表し、ヤフーが上場企業に求められるガバナンスを無視していると批判した。具体的には、指名・報酬委員会や派遣取締役を通さず岩田社長個人に辞任を迫った点などを問題視しているという。
対立の経緯は?
アスクルとヤフーは、2012年4月に資本・業務提携を締結。同年10月に、ECサイト「LOHACO」を共同でスタートした。15年にはヤフーによる出資比率(議決権ベース)を約45%に引き上げ、提携を強化していた。
だがヤフーは、LOHACO事業で赤字が続いていることや、アスクルの19年5月期の連結業績で、純利益が前年同期比90.7%減となる4億3400万円に低下したことを問題視。19年1月にLOHACO事業の譲渡を、6月には岩田社長の退陣を求めた。ヤフーは、アスクルが8月2日に開催予定の定時株主総会で、岩田社長の再任議案に反対票を投じる方針を固めている。
またヤフーは、LOHACOの譲渡を求めた理由について「第2位株主であるプラスの今泉公二社長が、取締役会で『LOHACO事業の赤字が業績に影響を与えているため、中止や譲渡を考えるべきではないか』と指摘したため」などと説明し、自社の利益のためではないとしていた。
これに対してアスクルは、「ヤフーから『LOHACOを直営店にしたい』との相談を受けた」などと暴露。「ヤフーが主体的にLOHACO事業の移管を画策していることは明白」とのコメントを発表し、両社は対立を深めていた。
残された時間は短い、策はあるのか?
こうした経緯を踏まえ、アスクルは独立役員会の助言のもと、資本・業務提携の解消に向けた協議をヤフーに数回申し入れている。だが、ヤフーは「関係の見直しについての協議は不要」と拒否を続けている。
アスクルは一定の条件を満たした場合、ヤフーに対して株式の売渡請求権を行使できるが、現時点で行使の有無は明らかにされていない。
また、プラスもヤフーの方針に賛同し、「岩田社長の再任に反対票を投じる」との声明を公表済みだ。ヤフーとプラスの議決権を合計すると過半数となるため、このままでは岩田社長の退任は避けられない。
二度にわたって会見を開き、ヤフーを批判したアスクルだが、8月2日の株主総会までに残された時間は短い。今後の方針に注目が集まるが、久保利弁護士は「独立役員会はアスクルとは独立した立場であり、意思決定は(岩田社長ら)業務執行部の問題。われわれは(業務執行部が)どう動くのが一番いいかを考えていくとしか言えない」と答えるにとどまった。起死回生に向け、アスクルの執行部はどんな手段を講じるのだろうか。
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