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「量子理論の副産物に過ぎなかった」──東芝の「量子コンピュータより速いアルゴリズム」誕生秘話:「量子コンピュータとは何か」を問う“新たな壁”(5/5 ページ)
量子コンピュータよりも速い「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」を開発した後藤隼人主任研究員に、開発背景を聞いた。
「量子コンピュータとは何か」を問う“新たな壁”
もともと量子コンピュータが専門である後藤さんは、シミュレーテッド分岐アルゴリズムを考案したことで「量子コンピュータとは何か」を問いかける。
「量子コンピュータには、“狭義の量子コンピュータ”と“広義の量子コンピュータ”がある。従来のコンピュータでは解けない問題を圧倒的な速度で解けるのが“狭義”で、速度はともかく量子性を用いて計算を行うのが“広義”」(後藤さん)
「量子の科学者は、『古典力学=悪』だと考えがち。しかしSBは、従来のコンピュータでも工夫をすることで、今ある量子コンピュータよりも速く計算できることを示した。“狭義”を主張するなら、まずはこの新しい壁を越えてからにしてほしい」
後藤さんは、「実社会に迅速に適用することを考えると、(量子ではなく)古典にした途端に価値が上がる」とも話す。量子コンピュータはハードウェアがまだまだ開発途上であったり、計算の再現性を示しにくかったりと扱いが難しいのに対し、従来の計算機であればハードウェアが確立され、計算の再現性も高いからだ。
後藤さんの研究結果は、量子コンピュータ研究が越えていかねばならない壁を大きく引き上げたことになりそうだ。
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