アスクル、臨時取締役会を中止 ヤフーへの自社株売渡請求を延期 姿勢軟化受け
アスクルが、8月1日午後に予定していた臨時取締役会を中止。同会では当初、親会社ヤフーに対する株式の売渡請求権の行使を審議する予定だったが、ヤフーが第三者にアスクル株式を譲渡する可能性を示唆したため、審議の延期を決めた。
アスクルが、8月1日午後に予定していた臨時取締役会を中止した。同会では当初、親会社ヤフーに対する株式の売渡請求権の行使を審議する予定だった。しかしヤフーが7月31日に、第三者にアスクル株式を譲渡する可能性を示唆したため、審議の延期を決めた。
ヤフーは7月25日、近年の業績不振などを理由に、アスクルが8月2日に開く定時株主総会で岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任に反対する議決権を行使。第2位株主のプラスなどもヤフーの方針に賛同しており、岩田社長らの退任が決定的となった。
アスクルはこれに対し「支配株主の横暴だ」などと主張し、ヤフーとの資本・業務提携の解消を示唆。株式の売渡請求権の行使を審議するため、8月1日に取締役会を開く予定だった。
そうした中、ヤフーが7月31日、「もしも『アスクルの企業価値をヤフーより向上できる株式の譲受希望者がいる』とアスクルの取締役会から打診されれば、その第三者の話を伺うことを拒否するものではない」とコメント。売り渡し先によっては交渉に応じる構えを見せた。
これを受け、アスクルは「(ヤフーが)資本関係解消の道を否定しない意思表示をした」と判断。「引き続き、ヤフーの姿勢・行動を注視していくことが適当」との考えから、審議の延期を決めた。
ただ、アスクルは「今回の審議延期は、当社株式の売り渡し請求権の不行使を意味するものではなく、権利を放棄をするものではない」ともコメントしている。
ヤフーに動議提出の意向がないことを確認
また、アスクルはヤフーと質問状などをやりとりし、ヤフーがアスクルの定時株主総会で修正動議を提出し、社外取締役の代替案を独自に提案する意向がないことを確認。アスクルの独立社外取締役が退任した後に、ヤフーが後任の選定に協力する意思があることも認識した。
これらの確認が取れたことも、アスクルが臨時取締役会を中止した理由だとしている。
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