40ギガのピカチュウ画像をやりとり、社内データはテラバイト級――ポケモン社が「Box」「Googleドライブ」を使い分ける理由(1/2 ページ)
「ポケットモンスター」シリーズの版権管理を手掛ける「株式会社ポケモン」。保有するポケモンの画像・動画のデータ量が膨大であるため、共有や管理に苦労する場合が多いという。同社テクニカルディレクターの関剛さんが「Box World Tour Tokyo 2019」に登壇し、クラウドストレージの活用法を語った。
「ポケットモンスター」シリーズの版権管理を手掛ける「株式会社ポケモン」(以下「ポケモン社」)。ピカチュウなどおなじみのキャラクターが米Nianticの「Pokemon GO」など他社のゲームに登場するのは、ポケモン社がIPを提供しているためだ。同社は他にも多様なパートナー企業と組み、ポケモンを起用した商品・サービスの展開を支援している。だが、保有するポケモンの画像・動画のデータ量が膨大であるため、共有や管理に苦労する場合が多いという。
40GBのピカチュウ画像をやりとり
ポケモン社テクニカルディレクターの関剛さんは、Box Japanがこのほど開いた年次カンファレンス「Box World Tour Tokyo 2019」に登壇し、「キャラクターごとに、いろんな動きや表情の画像・動画があるため、データ量は非常に多いです。先日も、米国のパートナー企業に40GBほどのピカチュウの画像を送る案件がありました」と日々の仕事内容を話す。全キャラクターの素材を含めた、社内で管理しているデータの総量は「数十TB級です」という。
そんなポケモン社は現在、膨大なファイルの共有・管理を効率化するため、オンプレミス環境の利用を減らしてクラウドサービスを多く活用する方針を採っている。これまでに導入したサービスは、チャットツール「Slack」、グループウェア「G Suite」、ストレージサービス「Box」など多岐にわたる。データ管理の効率化に向け、オンプレミス環境に構築していたWindowsベースの社内ファイルサーバをBoxに移行する作業も進めている。
従来はZipファイルなど活用
関さんは「従来は、Zipファイルを添付したメールをまず送り、その後でパスワード付きのメールを送る手法をよく使っていました。ですが、これではパスワードやメールを紛失した場合にフォルダを開けません。また、オンプレミスのファイルサーバは、不具合が起きた場合にベンダーに連絡する手間がかかっていました。クラウドサービスに切り替えることで、こうした不具合の解消を図っています」と状況を説明する。
ただし、注目を集めるクラウドサービスといえども万能ではない。導入によって全ての業務がうまくいくようになったわけではなく、クラウドストレージの使い方を中心に、新たな悩みや課題が浮上してきたのだ。
Googleドライブは合わなかった
関さんは「ストレージは最初、G Suiteに含まれる『Googleドライブ』だけを使っていました。ですが、ファイルを作成・アップロードした人が『ファイルのオーナー』になり、共有できる範囲を決める仕組みが当社には合いませんでした。人の入れ替わりや異動が激しいので、誰かが辞めるたびにオーナー権限を委譲する作業に手間がかかったのです」と明かす。
「Googleドライブの『マイドライブ』のファイルを『チームドライブ』にコピーして部署内に共有する仕組みも、多くのファイルを管理する当社にはマッチしませんでした。複数のファイルを一度にコピーすると、まれにエラーが起きるのですが、その際にアラートが出ないので、しばらくしてから『あのファイルがない!』と慌てることもありました」という。
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