LINEで株を売買できる投資サービス「LINE証券」スタート 野村HDと提携
LINE証券が、LINEから直接利用できる証券サービス「LINE証券」を提供開始すると発表。Android版LINE上で先行公開する。投資を身近に感じてもらうことで、若者の資産形成を促す狙い。
LINE Financialと野村ホールディングス(HD)が設立したLINE証券は8月20日、メッセージアプリ「LINE」上で株を売買できる投資サービス「LINE証券」の提供を始めたと発表した。Android版で先行公開し、iOS版は近日中に対応する。投資を身近に感じてもらうことで、働く若い世代の資産形成を促す狙い。
LINEアプリの「ウォレット」タブに表示される「証券」アイコンをタップすると、口座開設の申し込みや銘柄の売買、株価の確認などが行えるトップページが開く。
取引手数料は無料。数百円程度の銘柄を1口単位で取引できる。取り扱い銘柄は同社が厳選した日本の有名企業100社と国内のETF(上場投資信託) のみ。時価総額や出来高などの基準に加え、ユーザーにとって身近な銘柄を選定したという。
証券取引所を介さずに取引する相対取引の形態をとっているため、1口単位の取引でも即座に注文を確定できる。取引時間は午後2時50分から午後5時を除く午前9時から午後8時まで。ETFの夜間取引には対応していない。
終身雇用や年金制度に不安を持つ人がターゲット
LINEの国内アクティブユーザーは月間8100万人に上る。このうちの70%が20歳から50歳の資産形成層にあたる。彼らは終身雇用や年金制度などの不安から、資産形成や投資に興味を持つ人が増えているという。
LINE証券は、LINEというコミュニケーションの場を使い、投資経験の浅い資産形成層をターゲットにすることで、これまで金融業界がとらえられていなかった潜在顧客へのアプローチを目指す。
同社の落合紀貴代表取締役は、未経験者が投資を始めるときには3つの壁があると主張する。
一つ目は投資に対する知識不足だ。「どの銘柄に投資をすればいいか」「いつ売買すればいいか」などが分からず、投資に対して苦手意識や恐怖感を覚える人もいる。取り扱い銘柄が多いと選ぶのが難しくなるため、同社は100銘柄に絞って選択のハードルを下げた。さらにわずかな金額で取引できるため、大きな損失を出しにくく、経験を積んで知識を蓄えられる。
二つ目は資金不足だ。株取引は一般的に最低100株以上を扱うため、1口数万円するような銘柄であれば最低でも600万円以上と、年収より高い資金が必要になる場合もある。その他の銘柄でも、最低20万円と月収程度の資金が必要となるためハードルが高い。LINE証券は低価格の銘柄を1口単位で売買できるようにし、投資資金を用意するハードルも下げた。
三つ目は取引の自由度の低さだ。既存の投資サービスは取引できる時間帯が利用者も本業に就業中である場合も多く「投資がしにくい」という声もあったという。昼の休憩時間や退勤後でも取引できるように対応時間を設定し、自由度を確保した。
セキュリティ対策は十分か
LINE証券のサービスはLINEのアプリ上で提供するため、まずはLINEアプリの起動に認証が求められる。さらに入出金時にはLINE証券固有のパスワード入力も求められるため、取引までに2回の認証が行われる。
出金先には銀行やLINE Payの口座が指定できるが、銀行口座は本人名義の口座にしか出金できない。LINE Payに出金する場合はLINE Pay固有のパスワードが必要になるため、安心して利用できるとしている。
資産経験の浅い顧客との接点作りやサービスの提供が必要
同社は今後、ユーザーの声を聞きながら機能や銘柄の追加を行うとしているが、現時点では詳細を公開しない方針だ。
野村HDの池田肇執行役員は「終身雇用や年金の問題があり、資産形成のために的確なアドバイスをしてくれる存在が必要になる。投資経験の浅い顧客との接点作りやサービスの提供を考えないといけない。LINEと一緒なら日本の金融の未来を変えていけるのではないかと確信している」と語った。
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