ソニーの“着るエアコン”「レオンポケット」は即戦力になりそうだ:体当たりッ!スマート家電事始め(2/2 ページ)
背中に装着するソニーの冷温パック「REON POCKET」(レオンポケット)は、外出で役立つ「着るエアコン」だ。実際に身に付けて電源を入れると瞬時に肌と触れている場所が冷たくなってくる。
あつしは「トラマナ」の呪文を唱えた!
筆者は2019年の夏の暑い日にソニーの品川本社を訪れ、レオンポケットのプロトタイプを屋外で体験させてもらった。専用のインナーシャツを着ていないので、装着感に関するコメントは控えるが、本体の重さついては苦にならないレベルだ。例えばネックバンド型ワイヤレスイヤフォンを身に付けているときよりも軽く感じる。
電源をオンにしてクーリングモードにすると、瞬時に肌と触れている場所が冷たくなってきた。まるで濡れタオルを首もとに巻いたように、ひんやりとして心地よい。取材日は日中の気温が33度を超えていたが、まるでゲーム「ドラゴンクエスト」の呪文「トラマナ」を唱え、自分だけ暑さによるダメージを無効化しているような優越感に浸ることができた。
※トラマナ:人気ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズに登場する呪文の1つ。唱えると毒の沼地やバリアのある場所でもダメージを受けずに歩ける
冷却ジェルシートなども手軽で効果的なアイテムだが、レオンポケットは「冷たさがへたらない」のが特徴だ。しかも充電すれば何度も繰り返し使えるため、長い目で見れば懐や環境にも優しいウェアラブルデバイスといえる。温める時も同様に安全な温度にコントロールしてくれる。
内蔵バッテリーは、フル充電の状態から1回15分で6回まで使える容量。これは、電車通勤のビジネスマンが乗り換えや外出を含め、丸一日充電しなくてもいい駆動時間を目指した。さらに安全性を考慮し、連続した冷温時間は最長30分となっている。
夏場に多く汗をかく季節にもレオンポケットを安心して使えるように、ペルチェ素子を内蔵したプレート側には防滴加工を施している。もちろん専用インナーウェアは洗濯して繰り返し使える。
実際に使ってみて、レオンポケットはすぐにでも欲しい即戦力アイテムという印象を持った。ところが本機はまだ入手できない。19年夏は「First Flight」のクラウドファンディングで開発資金を調達した段階で、支援者に商品が届くのは2020年の3月ごろになる予定。量産商品化の計画については現在検討中だという。
クラウドファンディングを使った理由
レオンポケットは、ソニーのスタートアップ創出と事業運営を支援する「Sony Startup Acceleration Program」(SSAP)のオーディオションを経て事業化が決まった新商材だ。二人の伊藤氏はともにソニーの電子ペーパーを使った腕時計「FES Watch」にも携わった、いわば「新規事業のベテラン」。彼らがクラウドファンディングを利用した理由は、「商品化に踏み切る前に、レオンポケットの提案性がどのような人たちに響くのか、市場性を見ながら仕様や生産規模を決めるのに有効だったから」(伊藤陽一氏)という。
クラウドファンディングでは、目標額を6600万円と決して安くないレベルに設定した。結果として4200人のサポーター(出資者)と6916万8000円の資金を集め、達成率は104%。製品版の開発にゴーサインが出た。伊藤陽一氏は、「レオンポケットを良いものに仕上げ、できるだけ早く支援者の方々に届けたい」と話していた。
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