PayPay、不正利用時の被害額を「全額補償」 利用規約に明記
PayPayは、ユーザーが不正利用の被害に遭った場合、原則として全額を補償すると利用規約に明記。主要なモバイル決済サービスでは、補償の方針を明記する動きが広がっている。
PayPayは8月28日、モバイル決済サービス「PayPay」のユーザーが不正利用の被害に遭った場合、原則として全額を補償すると利用規約に明記した。ユーザーが抱える不正利用への懸念を払拭(ふっしょく)し、利用拡大を促す。「7pay」で不正利用が相次いだ問題などを踏まえ、主要サービスでは、補償の方針を明記する動きが広がっている。
利用規約によると、PayPayユーザーの銀行口座情報やクレジットカード情報が第三者に盗まれ、不正利用された場合、原則として同社が被害額の全額を補償する。PayPayを利用していない人の銀行口座情報が流出し、第三者のPayPay残高に不正にチャージされた場合など、非ユーザーが被害に遭った際も補償する。
ただ、被害者に重大な過失があった場合などは補償対象外になり得るとしている。
同社はこれまで、補償の方針を利用規約に明記していなかった。2018年12月ごろにクレジットカードの不正利用が相次いだ際は、全額補償する方針を採ったが、それ以降にもわずかに不正利用が発生し、補償の有無を「ケースバイケースで判断」としてきたという。
同社が実施した消費者調査で、モバイル決済サービスを利用しない理由の1つに「不正利用に対する不安」があり、補償対応のニーズが高いことが分かったため、方針の明記に至ったとしている。安心感をアピールし、利用に抵抗があった層を呼び込む狙いだ。
他の主要サービスでは、LINE Payが公式サイトで「不正利用時の被害額を補償する制度を導入している」と公表している。この制度では、補償を希望するユーザーは被害から30日以内に申し立てること、他人にパスワードを教えた場合は補償対象外になること──などと適用条件を明文化している。
メルペイも8月15日に利用規約を改訂し、不正利用時の被害額を全額補償する方針を明記した。規約では、ユーザーは被害を受けた直後に、メルペイへの報告や警察署への申告などを行えば、被害額の補償を請求できると説明している。
関連記事
- メルペイ、「不正利用時は補償」規約に明記
メルペイが利用規約を改訂し、ユーザーが不正利用の被害に遭った場合、被害額を補償すると明記した。 - ドコモ吉澤社長、dアカウントへの「不正ログイン試行」増加に言及 「海外からのリスト型攻撃が増えた」「ID・パスワードを見直して」
悪意ある第三者が「dアカウント」への不正ログインを試みる例が増えている。NTTドコモの吉澤和弘社長が、7月26日に開いた決算会見でこの問題に言及。「海外からのリスト型攻撃が非常に増えている」「お客さまにはIDとパスワードを見直してほしい」と注意を喚起した。 - 急増する不正ログイン、対策のカギは「正しく怖がる」こと
不正ログインの被害が日本社会を揺るがしている。過去1年あまりで報道された大きな被害だけでも10件を超えた。不正ログイン事件の裏側を考察し、起こり得る犯罪と回避策の有効性を検証したい。 - 三井住友カード、会員向けアプリに約1万7000件の不正ログイン リスト型攻撃で顧客の氏名や明細など流出か
三井住友カードの会員制スマホアプリ「Vpass」に、リスト型攻撃による不正ログインがあった。ログインされた可能性のあるID数は1万6756件。クレジットカード情報は流出していないが、顧客の氏名、カードの名称、利用金額、利用明細、利用可能額、ポイント残高が第三者に閲覧された可能性がある。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.