国の「キャッシュレスでポイント還元」公式サイト、店舗一覧が「3608ページのPDF」で使いづらい→「何とかしたい」とZaimが検索サイト開発、わずか1日で
店舗でキャッシュレス決済すると最大5%がポイント還元される国の制度の対象店舗を公式サイトで探そうとすると、3000ページをゆうに超えるPDFがダウンロードされてしまって大変だ。ベンチャー企業のZaimは、このPDFを解析し、店名や地域から対象店舗をテキスト検索できるサイトを公開した。
10月の消費増税に伴い、店舗でキャッシュレス決済すると最大5%がポイント還元される国の制度「キャッシュレス・消費者還元事業」が始まるが、その公式Webサイトが話題になっている。対象店舗一覧を閲覧しようとすると、18万店舗を網羅した、3000ページをゆうに超える、長大すぎるPDFデータがダウンロードされてしまうのだ。このPDFから対象店舗を探すのは、とても大変だ。
これについて「何かできないか」と考えたFinTechベンチャー企業・Zaimは9月5日、このPDFを解析し、店名や地域から対象店舗をテキスト検索できるサイト「zaim キャッシュレス還元マップ」を公開した。問題を知った後すぐに開発を始め、わずか1日でリリースしたという。
国の公式サイトは「3608ページのPDF」、長大すぎると話題に
キャッシュレス・消費者還元事業は、10月1日の消費増税に合わせて始まる、キャッシュレス推進のための国の事業。対象店舗でキャッシュレス決済で支払うと、支払額の2%または5%がポイント還元される。
この制度をPRする公式サイト(運営はキャッシュレス推進協議会)では、対象となる店舗一覧へのリンクがあるが、クリックすると、全国の小売店とネットショップ合計約18万店舗をリストにした、総ページ数3608にも上る長大なPDFがダウンロードされるため、お目当ての店舗を探すのはとても大変だ。
このことを4日、ねとらぼが紹介し、ネットで話題になった。
「何かできないか」1日で検索サイト開発
この記事はZaim社内のSlackでも話題になり、「何かできないか」「このPDFをテキスト化し、検索できるようにすればいいのでは」という話が出たという。早速、有志のデザイナーとエンジニアが検索サイトの開発に着手。4日の午後3時ごろからデータを収集し、午後7時ごろから開発をスタート。翌日午後3時にサイトとして公開した。
サイトでは、店名や地名から検索できるほか、地図から自治体を指定し、そのエリアの対象店舗一覧を確認することもできる。また、「Yahoo!ショッピング」や「楽天市場」などのネットショップも、一覧で確認できる。
「当社は給付金情報なども集めてるが、政府や自治体のサイトはすごく見づらいことが多く、もったいないな、と常々感じていた。そういう“ちょっとした残念”を見やすくして、少しでも使われる情報になれば」と同社はコメントしている。
キャッシュレス・消費者還元事業の公式サイトには、店舗一覧について「地図上に対象店舗を表示するWeb機能やアプリを公表予定」と書かれている。公式サイトも今後、使いやすくなっていくようだ。
【更新:2019年9月5日午前10時 見出しを一部修正しました】
関連記事
- 「国税庁URL変換器」個人が開発 旧URLから新ページにアクセス リニューアルの混乱受け
国税庁のWebサイトが3月31日にリニューアルされ、ほぼすべてのURLが変わったことで混乱が起きる中、エンジニアの「ぽち@pchw」さんが、旧URLを新URLに変換するサービス「国税庁URL変換器」を個人で開発・公開し、話題になっている。 - 国税庁Webサイト、全URL変更で混乱 サイト内検索も役立たず、「無限ループ」状態に
国税庁のWebサイトがリニューアルされ、ほぼすべてのURLが変わった。旧URLはすべてトップページにリダイレクトされているが、トップページからサイト内検索を使っても旧URLが表示されるため、トップページに「無限ループ」してしまう状態だ。 - 犯行予告収集サイト「予告.in」公開 「0億円、2時間で作った」
「総務相が、ネット上の犯行予告を検知できるソフトの開発費を来年度予算の概算要求に盛り込むと発言した。費用は数億円」という報道を受け、開発者の矢野さとるさん(26)は、犯行予告収集サイトを1人で2時間で構築・公開した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.