息子を失ったある家族の出来事 亡くなった家族のApple IDやGoogleアカウントは引き継げるか(3/3 ページ)
「亡くなった息子のiCloudにアクセスしたいのですが……」──息子を失った夫婦が、クラウドに遺された生きた証を取り戻すために動いた。
Googleアカウントはアカウント自体を他者に引き継ぐことは想定していない。ただし、一定期間ログインがないときにアカウントの消去や指定した相手へのデータへのアクセス権などが託せる「Googleアカウント無効化管理ツール」というツールを用意しているので、アカウントの持ち主が事前に備えておくことは可能だ。
また、故人のアカウントを閉鎖したり、アカウントに残ったデータや資金などを受け取ったりするためのリクエストページもある。これらを活用することが入り口になる。
リクエストページに書かれた言葉が、死亡時における現状とGoogleのスタンスを端的に示している。
「多くの方々がご自身のオンラインアカウントの管理方法について明確な指示を残さないままお亡くなりになっています。Googleでは、ご家族や代理人の方と連絡を取って、適切であると判断した場合には、故人のアカウントを閉鎖します(以下略)」
Microsoftアカウントも相続は非対応になる。日本マイクロソフトによると、相続を含めたユーザー死亡時の問い合わせはほとんど届いていないという。日本だけでなくアジア全体でも同様とのことだ。
このあたりはアカウントの活用拠点の違いがあるのかもしれない(スマホは端末のロックを生体認証やパスワード以外で突破するのは非常に難しいが、PCは複数の方法が残されていることが多い)。
いずれにしろ、遺族がノーヒントの状態から、アカウントを相続したり、ひも付けられたデータを取得したりするのは相当難しいことが分かる。
これに対し、本人が普段から手を打っておくことはとてもたやすい。家族が求めるようなデータの置き場所を整理して、手の込んだ手続きを経なくても手に入るようにすればいいだけだ。見られたくないデータはそこから遠ざければ名誉が守れる安心感も得られる。
Apple IDの引き継ぎ作業を終えたAさんはこう話していた。
「どんなに健康でも、どんなに若くても明日のことは分かりません。自分にもしものことがあったとき、スマホの中をどの範囲で見せてよいのかを家族に知らせると同時に、スマホのパスコードを知らせておくことをお勧めします。わが家では息子が亡くなった後、家族同士でパスコードを教え合いました」
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自分が死んだ後、Facebookアカウントを管理してもらう「Legacy Account」を設定できるようになる。Legacy Accountに指名されたユーザーは、追悼アカウント申請受理後、故人の追悼アカウントに告知を投稿したりプロフィール画像を変更できる。また、死後アカウントを完全削除するよう遺言できるようにもなる。
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