シューティングゲーム「ゼビウス」をプレイするAIロボットが、家電とIoT機器の見本市「CEATEC 2019」(10月15〜18日、千葉・幕張メッセ)のバンダイナムコグループのブースに展示されている。
段ボール製ロボットの名前は「キューゴロー」。昭和の時代を思い出させるどこか懐かしいデザインが特徴だ。一見すると、キューゴローの手でコントローラーを操作しているように見えるが、実際は「裏側で動いているAIがゲームをプレイしている」(バンダイナムコ)。
AIには、与えられた環境における価値を最大化するようにエージェントを学習させる強化学習(reinforcement learning)の手法を用いた。キューゴローは巧みな操作で敵の弾をかわしながら攻撃していくが、たまに失敗すると悲しげな表情を見せてくれる。
ユニークな展示に込められた思いを担当者に聞いた。
渡米するために「折りたためるロボット」を製作
バンダイナムコ研究所の中野渡昌平さん(イノベーション戦略本部 クリエイティブデザイン部 課長 事業プロデューサー)は、「AIやロボットは直感的に理解しにくいものです。人と機械の身近なコミュニケーションを考えてもらうために、キューゴローは人間くさいものにしました。悲しい顔を見ると、たとえAIでも頑張れと応援したくなりますよね」と説明する。
本当は人間よりもはるかに上手にプレイできるそうだが、たまに失敗したほうが親近感がわくため、あえてAIのバージョンを古いものに戻したという。「今は敵の弾を避けて生存することに重きを置かせていますが、例えば敵を倒すことを目的に設定すれば、性格の異なるAIができるかもしれませんね」(中野渡さん)
キューゴローは、折りたためるロボットだ。2019年3月に米国で開催されたテクノロジーイベント「SXSW 2019」に向けて製作したもので、本体はわずか3カ月で完成させたという。
「3カ月しか時間がなかったので船で運べず、自分たちでロボットを持っていく必要がありました。スーツケースに入る大きさということで、折りたたみ式の段ボールロボットになったんです」
製作は、ゼビウスのメカデザインを担当した遠山茂樹さんが担当した。本体には、テレビのつまみ、RCA端子、乾電池、カセットデッキ、バルブなど昭和レトロな要素を詰め込んだ。導体部分には、ゼビウスのボス「アンドアジェネシス」をデザインするなど、細部にもこだわっている。中野渡さんは「(キューゴローを見ることで)テレビゲームで遊んでいた昔の記憶を思い出してほしい」と話す。
ザクのプログラミング教材には「旧ザク」の姿も
バンダイナムコは、アニメ「機動戦士ガンダム」の世界観を再現したプログラミング教材「ZEONIC TECHNICS」(ジオニック テクニクス)も展示。本来は機動戦士ガンダムに登場するモビルスーツ「ザクII」をモチーフにしたホビーロボットを組み立てながら、ロボティクスの基礎やプログラミングの概念を学べる教材だが、参考展示として「旧ザク」(ザクI)の姿も見られた。旧ザクはあくまで参考展示で、現段階で発売する予定はないという。
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