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東北大とNEC、量子アニーリングで共同研究 システム設計の高速化、AI用学習データ作成も
東北大学と日本電気(NEC)は、量子アニーリング方式の量子コンピュータを活用する共同研究を開始したと発表した。システム設計の高度化に取り組むとしている。
東北大学と日本電気(NEC)は10月21日、量子アニーリング方式の量子コンピュータを活用する共同研究を開始したと発表した。システム設計の高度化に取り組むとしている。
量子アニーリング方式の量子コンピュータは、問題から想定できる答えの組み合わせの中から最適なものを見つけ出す「組み合わせ最適化計算」に特化したマシン。NECは、顧客の要件を満たすハードウェアやソフトウェアのリソースや設定の組み合わせを量子アニーリングマシンで高速に解くことを目指すという。マシンが解くべき式の、AIによる自動生成にも取り組んでいく。
また、量子アニーリングマシンが量子力学に基づき確率的な動作をするという特徴を生かし、「予測可能な生成ルールは存在しないが、学習データとしての条件は満たしている」形式のデータを生成し、AIの学習に役立てたいとしている。
東北大は、大関真之准教授を中心に、カナダD-Wave Systemsと提携して量子アニーリングマシンを利用した研究開発を行っている。東北大の知見と、NECの実務経験をお互いに共有することで、社会的な価値を生み出していきたいとしている。
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