「お坊さん便」がアマゾンから撤退 「宗教行為の商品化」と物議、サービス自体は継続
Amazon.co.jp上で「お坊さん便」の取り扱いが終了。運営元のよりそうは「大手ECサイトに掲載できる情報量では供養の役割を十分伝えられなかった」と説明している。サービス自体は継続する。
法事・法要の際に僧侶を手配できるサービス「お坊さん便」を運営する、よりそうは10月24日、Amazon.co.jpでの同サービスの取り扱いを終了すると発表した。同社は「仏事そのものが『出品』されたかのような誤解が生じたり、大手ECサイトに掲載できる情報量では供養の役割を十分伝えられなかった」としている。サービス自体は終了せず、自社サイトに問い合わせ窓口を一本化する。
お坊さん便は、定額料金で読経・法話を僧侶に依頼できるサービス。よりそう(旧社名は「みんれび」)が2015年12月、自社サイトに加えてAmazon.co.jpで提供を始め、「読経をしてもらいたいが、お寺との付き合いがない」「お布施をいくら包めばいいのか相場が分からず不安」という声に応えた商品として、ネット上で注目を集めた。
しかし、全日本仏教会が「僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに大いなる疑問を感じる」などと問題視。同教会が16年3月、アマゾンジャパンに対して販売中止を求めるなど物議を醸していた。
よりそうは24日、公式サイト上で「大手ECサイトへの掲載は、当時耳なじみのある方が少なかった民間の僧侶手配サービスの社会的認知を高め、菩提寺のない方へ広くアプローチする手段になった」と説明。
一方「仏事そのものが『出品』されたかのような誤解が生じたり、大手ECサイトに掲載できる情報量では供養の役割を十分伝えられなかった」とし、Amazon.co.jp上での取り扱い終了を決めたという。今後は自社サイトでサービスを継続する。
また、顧客が利用後に支払う額を決められる「おきもち支払い」を導入することも発表。同社は「僧侶へのお礼、供養や信仰への思いを反映した金額を一定の幅で自ら選択できるようになる」「金額幅に裁量が生まれるため、一般的なお布施と同じく利用者のお気持ちを表現しやすくなる」と説明している。詳細は近日発表するという。
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