国内プライベートクラウド市場規模、18年時点で5700億円 23年には2兆7000億円に
IDC Japanが、国内のプライベートクラウド市場規模の予測を発表。2018年の時点で5764億円で、23年には2兆7194億円(約4.7倍)に拡大するという。技術の発展に伴い、デジタル変革の手段として関心を持つ企業が増えているという。
日本国内のプライベートクラウド市場規模は、2018年時点で5764億円(17年比38.6%増)で、23年には2兆7194億円(18年比約4.7倍)に拡大する――IDC Japanがこんな調査結果を発表した。18年〜2023年の年間平均成長率(CAGR)は36.4%で推移するという。
同社によると、プライベートクラウドはこれまで、基幹系システムの移行に適した環境だと捉えられる傾向があった。だが近年は技術が発展し、コンテナ環境の構築、オープンAPIの利用、AIや機械学習の導入などが可能になった。そのため、ITの効率化だけでなく、デジタル変革の手段として関心を持つ企業が増えているという。
パブリッククラウドを選択する企業も多いものの、運用・管理に当たっては、企業の担当者が新しいスキルを習得したり、既存のプロセスを見直したり、ソフトウェアライセンスの管理を強化したり――といった手間がかかる場合もあるとしている。
一方プライベートクラウドは、従来のソフトウェアや、運用に求められるITスキルなどを継承できるため、使い勝手の良さを評価して導入する企業が多いという。
ただ今後は、パブリッククラウドの継承性・運用性の課題は改善に向かうため、ユーザー企業はプライベートクラウドに対して、コスト面・セキュリティ面の優位性や、産業特化型のサービスを求めると同社は予測している。
プライベートクラウドを扱うベンダーが、成長中の市場で多くのシェアを握るための戦略について、IDC Japanは「価格面での差別化が困難になっているため、ユーザー企業の制御・運用技術の変革を支援するような、特徴あるサービスの提供が必要だ」と提言している。
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