スマートスピーカーが家の“番犬”に? 米国で劇的進化するAmazonとGoogleの音声アシスタント(3/3 ページ)
プライバシーを守るオンデバイスAI、ガス漏れ警報を「認識」するスマートスピーカー。AmazonとGoogleが開発している新機能はいずれ日本にもやってくるだろう。
「コンシェルジュ」を目指す音声アシスタント
もう一つ、Alexaの興味深い取り組みを紹介しておこう。それが「Alexa Conversation」だ。こちらは英語でもまだ開発中で、今後導入される。
これはどういうものかというと、Googleが取り組んでいるContinued Conversationに近いものだ。ただし、そこで狙うことはもう少し先だ。
例えば「夜に映画を見たいのでチケットをとりたい」とする。Alexaにはオンラインショッピング連携の機能があるから、声でそういう命令をするのは難しくない。だがそのためには、どこの時間の映画館に席があって、どれをチョイスするのか、という「会話」が成り立たなければならない。Alexaではまずこれを実現する。
さらには、映画館に行くということは、そのための移動手段を欲しているということだろうし、外でディナーを食べるかもしれない。その点についても訊ねて、おなじように「会話」で販売を成立させる。
こうしたことは、人間のコンシェルジュを相手にしていると思えば当然のことだ。しかしこれまでの音声アシスタントは、ユーザーの行動履歴からサジェスチョンすることも、外部のサービスと連携して必要な提案をするのも難しかった。Amazonはそのための情報をやりとりするAPIを用意して、ショッピングなどのサービスを運営する人々が「Alexaとの自然な会話によって一連の行動に必要な手配を実現する」手段を作る。過去にそういうことをするには、会話の内容をすべてシナリオ化しておく必要があったが、Alexa Conversationでは、AlexaのAIがそれを手助けするため、シナリオ化の必要はない。
Googleも、自分がGoogleカレンダーやGmail、Googleフォトに残した行動履歴から、個人を判別した上で「その人に適切な情報をまとめて見せる」という機能の実装を進めている。
音声アシスタントはコンシェルジュや執事のような役割になるのが理想だ。そのためには、AIの技術開発とプライバシー保護の両面が必要になる。両者はそれを理解した上で、激しく競争を繰り返しながら進化しているのだ。
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