「全焼した首里城を3Dモデルで復元する」 東大研究者ら有志が写真・動画の提供を呼びかけ 再建までの観光資源に
全焼した沖縄・首里城を3Dモデルで復元するプロジェクトを東大研究者ら有志が始めた。写真や動画の提供を広く求めている。
「全焼した沖縄・首里城を3Dモデルで復元する」──そんな取り組みが11月5日に特設サイトで公開された。画像処理を得意とする研究者や学生、エンジニアらの有志が集まり、ネット上で3Dモデルの素材となる首里城の写真や動画の提供を呼びかけている。
11月1日、東京大学情報理工学系研究科の川上怜特任講師の呼びかけで始まった「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」では、異なる視点から撮影された複数の写真や動画をもとに、一つの3次元形状を復元する技術「Structure from Motion」(SfM)を活用する。3Dモデルで復元した首里城をARやVRなどで疑似体験できるようにすることで、実物が再建されるまでの観光資源として役立てる考えだ。
5日に正式オープンした特設サイトでは、画像検索で収集した素材から復元した3Dモデルのサンプルを公開している。現時点では首里城の正面のみが立体的に粗く再現されている状態だが、画像や動画の素材が増えるほど3Dモデルの精度が上がることから、有志らは首里城の写真や動画を一般に向けて広く募集している。
首里城の写真や動画は特設サイトからアップロードできる。スキャンしたフィルム写真や古い写真、珍しい写真でも構わないという。提供された画像や動画に含まれる個人を特定可能な情報は、匿名化処理を行うとしている。
10月31日未明に発生した火災で、首里城の正殿など3棟が全焼した。各紙報道によれば火災の原因は不明。再建には巨額の費用がかかるという。那覇市のクラウドファンディングでは、開始から6日目を迎えた11月6日午後3時の時点で、3億6200万円の寄付金が集まっている。
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