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「IBMに買収されたが、これからも独立した立場だ」――Red Hat幹部、ブレない戦略語る(1/2 ページ)

米Red Hatの経営陣が、都内で方針説明会を開催。「IBMに買収されたが、これからも独立した立場だ」とブレない姿勢を示した。今後も「オープン・ハイブリッドクラウド戦略」に注力する方針だ。

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 「Red HatはIBMに買収されるという大きな転換期を迎えた。今後はIBMと一緒にハイブリッドクラウドを推進していくが、Red Hatは独立した立場。Red HatはこれからもRed Hatだ」――。米Red Hatのバイスプレジデント、ニック・ポップマン氏は、同社がこのほど開いた方針説明会でこう語った。

 Red Hatは、オープンソースOSであるLinuxをベースにした商用OS「Red Hat Linux」などを長年にわたって提供。エンタープライズ環境でも利用できるLinux OSとして人気を博してきたが、2018年10月にIBMが買収を発表。19年7月末に取引が完了し、今後の事業展開に注目が集まっている。

 ポップマン氏は会見で「Red Hatは25年以上にわたりオープンソースで技術革新を推進してきた。業績面では16年続けて売上高を更新し、成長を続けている。これは今後も変わらず、ミッションやコミットメントも変わらない」と繰り返し強調した。

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米Red Hatのバイスプレジデントであるニック・ポップマン氏

 同氏によると、Red Hatの成長の原動力は「オープンなテクノロジーとオープンな企業文化」。新しいデリバリーモデルの投入や、市場投入スピードの短縮といった企業努力を重ねることで、競合優位性を維持してきたという。

 こうした体制のもとで提供してきたオープンソースは、「いまやデジタルトランスフォーメーション(DX)を動かす重要な要素となっている」(ポップマン氏)といい、「IBMがRed Hatを買収したことが、そのことを証明している」と自信を見せた。

 IBMに買収されても変わらないミッションとして、ニック氏は「企業の変革の実現」を挙げた。そのために必要な要素として、システムとアプリケーションを開発・提供・統合する「オープンなアーキテクチャ」、ITとビジネスの部門を越えて作業を行う「オープンなプロセス」、組織間の連携を円滑にする「オープンな企業文化」の実現に取り組むと説明した。

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米Red Hatが目指す組織像

 社外に向けた注力分野として、同氏は「Red Hat Open Innovation Labs」を紹介した。オープンソースのカルチャーとテクノロジーを応用し、顧客のビジネス課題の解決を支援する参加型ワークショップで、UNICEFなど世界各国の団体・企業が採用し始めているという。

「オープン・ハイブリッドクラウド戦略」の一環でNVIDIAと提携

 続いて、米Red Hatのシニアバイスプレジデント兼CTOであるクリス・ライト氏が登壇。Red Hatがかねて推進する「オープン・ハイブリッドクラウド戦略」の意義をあらためて解説した。ライト氏によると、この戦略は、複数のベンダーが提供するオンプレミス系システムやクラウド、オープンソースを組み合わせて提供することで、顧客価値の最大化を目指すもの。

 その実現に向けて欠かせないのが、エンタープライズ対応のKubernetesコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」と企業向けOS「Red Hat Enterprise Linux」だ。両ツールを活用することで、複数の企業が提供するアプリケーションをハイブリッドクラウド環境で柔軟に動かすことが可能になる。

 ライト氏は「レガシー企業は現在、ワークロードのクラウド移行に苦しんでいる。クラウドネイティブな企業では、データの肥大化に伴って、エッジコンピューティングが注目されている。こうした状況において、オープン・ハイブリッドクラウドの重要性はより高まっていくだろう」と展望を語った。

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現在の市場トレンド

 19年10月末、Red Hatは米NVIDIAとの提携を発表したが、これもオープン・ハイブリッドクラウド戦略に基づいたもの。Red HatのLinuxやKubernetesプラットフォームを、AI研究向けディープラーニングサーバ「NVIDIA DGX-1」上で利用可能にするといい、ライト氏は「AIを駆使した新しいワークロードを実行できるよう、オープンソース・コミュニティーの協業を拡張する」と力を込めた。

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