個人情報保護委、Cookie利用の規制案を検討中 12月中に発表へ “リクナビ問題”の再発防ぐ
個人情報保護委が、企業のCookie利用を規制する方向で検討していると明らかにした。リクナビ問題を機に、Cookieと他の情報を結合して個人を特定する行為を問題視していた。今後の展開は12月中に発表するという。
政府の個人情報保護委員会は11月26日、企業のCookie利用を規制する方向で検討していることを明らかにした。同委は“リクナビ問題”を機に、Cookieと他の情報をひも付けて個人を特定する行為を問題視しており、再発を防ぐ狙い。この行為を制限する内容を個人情報保護法の改正案に盛り込み、2020年1月の通常国会で提出する可能性があるという。
規制の詳細は未定で、法案提出ではなくガイドラインの制定にとどめることも検討中。12月中に今後の展開を発表するとしている。
今年8月、就職情報サイト「リクナビ」運営元のリクルートキャリアが、学生の内定辞退率を予測して他社に販売していたことが発覚した。同社は顧客企業から応募者のCookie情報の提供を受け、リクナビ上の情報と組み合わせることで、利用ブラウザや個人を特定する仕組みを採用。特定した個人と過去のリクナビユーザーの行動履歴と照合し、内定辞退率を算出していた。
同社は内定辞退率のスコアを顧客企業34社に納品したが、リクナビのプライバシーポリシーに不備があり、一部の学生から事前に同意を得ていなかったことも発覚。法的・倫理的な観点から批判を集め、サービスを中止する事態に発展した。
個人情報保護委は、一連の仕組みが個人情報保護法違反に当たると判断し、8月末にリクルートキャリアに行政指導を実施。その後は、他社を含めた再発防止に向け、本人の同意なく企業間でCookie情報をやりとりし、氏名などと突き合わせて本人を特定する行為を制限する方法を議論してきた。
同委の広報担当者は「あまり遅くならないよう、迅速に対応を進めたい。通常国会に改正案を提出する場合は、案が固まった段階で公表する。国民からパブリックコメントを募り、その内容を踏まえて詳細を決める。ガイドラインを制定する場合は、早い段階で施行日を公表したい」と話している。
Cookieの利用を巡っては、公正取引委員会も規制する方向で議論に入ったと10月末に各紙が報じた。
関連記事
- リクナビ運営元に「Pマーク」取り消し措置 “内定辞退予測”を問題視
JIPDECがリクルートキャリアのプライバシーマークを取り消した。学生の内定辞退率を予測して他社に販売するサービス「リクナビDMPフォロー」に個人情報の取り扱い不備があったと判断したため。同社はJIPDECの認定個人情報保護団体からは脱退しない。 - 詳報・リクナビ問題 「内定辞退予測」なぜ始めた? 運営元社長が経緯を告白
「リクナビ」問題に揺れるリクルートキャリアが、8月26日に記者会見を開催。小林大三社長が登壇し、学生の内定辞退率を予測したデータを企業に販売していた件の背景を語った。採用担当者負担を軽減する狙いでリリースしたが、学生への配慮が不足していた他、社内のチェック体制が機能していなかったという。 - 公取委、Cookie利用を規制へ 「規制いらない」経団連は反発
公正取引委員会がCookieの利用を規制する方向で検討に入ったと朝日新聞が報じ、Twitter上で話題になっている。公正取引委員会はCookieを含めた個人に関するデータの規制を検討しているが、経団連は「新たな規制は必要ない」と反対している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.