AIと人の関係、鋭く表現 SFマンガ「AIの遺電子」などが人工知能学会で表彰
近未来SFマンガ「AIの遺電子」などが、人工知能学会倫理委員会の「AI ELSI賞」を受賞した。AI ELSI賞は、AIと社会の関係や、AIの倫理的な問題を考える上での優れた活動を表彰するもの。
近未来SFマンガ「AIの遺電子」(山田胡瓜)などがこのほど、人工知能学会倫理委員会が定める「AI ELSI賞」を受賞した。AI ELSI賞は、AI技術の倫理的側面などを考える上で、顕著な活動を表彰するもの。
AI ELSI賞は人工知能学会倫理委員会が企画・運営。社会とAIの関係や、AI技術の倫理的側面を考える上で、顕著な活動を表彰する目的で創設された。ELSIは、倫理的、法的、社会的な影響(Ethical, Legal and Social Implications)の頭文字を指すとしている。
産業技術総合研究所 神嶌敏弘さんの研究「AIの公平性に関する一連の研究」がPerspective(展望)賞を、山田胡瓜さんのSF漫画「AIの遺電子」がPractice(実践)賞を受賞した。
同委員会は、神嶌さんが日本国内でいち早くAIの公平性に関する研究を始め、同分野の発展に貢献してきたことを評価。ヒューマノイドと人間が共存する近未来を描いた「AIの遺電子」については、「登場人物の日常生活や心情を中心に扱うことで、広く一般の人にも読みやすい物語になっており、人と人、人と機械の関係性を扱い、鋭く切り込んでいる」と評価した。
受賞に当たり、11月23日に表彰式が開催された。式の中で、賞審査委員のクロサカタツヤさん(企・代表取締役。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授)は、「賞の選定を行う過程では、この活動は誰向けなのか、誰に対するメッセージなのかが重要な視点になっていた」と語った。
同委員会は、研究者や開発者の倫理を重視し、社会の中で健全にAI技術が用いられる議論を行っていくために、「人工知能学会 倫理指針」を2017年に策定。人類が公平・平等にAIを利用できるような「公平性」や、AIがもたらす危険性を示す「社会に対する責任」などをまとめている。
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