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Amazon、量子コンピュータに本腰 3社の量子ハードでプログラミングできる「Amazon Braket」発表 研究所設立、共同研究プログラムも

米AWSは、量子コンピュータのフルマネージドサービス「Amazon Braket」を発表した。同サービス上で記述した量子プログラムを、複数社の量子ハードウェアで実行できる。

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 米AWSは12月2日(現地時間)、量子コンピュータのフルマネージドサービス「Amazon Braket」をAWSのイベント「re:Invent 2019」で発表した。同サービス上で記述した量子プログラムを、複数社の量子ハードウェアで実行できる。


量子プログラミングの学習から実行・解析環境までを提供する「Amazon Braket」

 Amazon Braketは、量子プログラミングの学習から実行・解析環境までを提供する。学習にはステップバイステップガイドやチュートリアル、リソースライブラリを用意。プログラミングは同サービス上のJupyter Notebookで行う。記述したプログラムは従来のハードウェアでシミュレートすることで、コードに問題がないかテストできる。

 量子ハードウェアでの実行は、米Rigetti Computingの量子ゲート方式の量子コンピュータ(超電導量子ビット採用)と、米IonQの量子ゲート方式量子コンピュータ(トラップイオンによる量子ビット採用)に加え、カナダD-Wave Systemsの量子アニーリングマシン(超電導量子ビット採用)から選べる。量子コンピュータのみの計算の他に、量子コンピュータと従来のハードウェアによるハイブリッド計算も実行可能。量子ハードウェアの実行時間分の料金がかかるという。

rigettid-wave 米Rigetti Computingの量子コンピュータ「16Q Aspen-4」(写真左)とカナダD-Wave Systemsの量子アニーリングマシン「D-Wave 2000Q」(写真右)

米IonQの量子ゲート方式量子コンピュータ イオントラップによる量子ビットを採用

 計算結果やテスト結果はクラウドストレージ「Amazon S3」上に保存され、イベントログや、ステータス、実行時間などの各パフォーマンス指標は「Amazon CloudWatch」から確認できるとしている。

 Amazon Braketの「ブラケット」は、量子力学の計算でベクトル表記に用いる「ブラ-ケット記法」に由来する。

 また、AWSは量子コンピュータ技術を研究する「AWS Center for Quantum Computing」と、共同研究プログラム「Amazon Quantum Solutions Lab」の設立を併せて発表した。

 AWS Center for Quantum Computingでは、米カリフォルニア工科大学とともに量子コンピュータを大量生産できる可能性のある技術の開発や、量子コンピュータで解決できる問題の特定について取り組んでいく。

 Amazon Quantum Solutions Labは、AWSユーザーと量子コンピューティングの専門家をつなぐプログラム。ユーザーのコンサルティングには、Amazonの他、1QBit、Rakho、Rigetti Computing、QCWareなどの量子ベンチャーがパートナーとして名を連ねている。

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