格ゲーの駆け引きはAIにもできる? 憧れのプロ選手、AI化の可能性も(4/4 ページ)
ゲーム業界のAI活用が進んでいる。最近では、人間の操作を学習するキャラクターAIも登場。テクニカルライターの西川善司さんが、昨今のゲームAI事情をまとめた。
AIの進化で、憧れのプロプレイヤーといつでも対戦できる?
最近は、ゲームをスポーツ競技として捉える「eスポーツ」が盛り上がりを見せています。著名なプロゲーマーたちのプレイは観客を熱狂させてくれますが、自身もゲーマーだという人は、そんなプロゲーマーたちとの対戦を夢見てしまうのではないでしょうか。
筆者自身も、格闘ゲームのオンライン対戦をするときに、偶然プロゲーマーとマッチングすることがあります。ほとんどのゲームは、なるべく特定の相手と連続してマッチングされないような仕様なので、目当てのプロゲーマーとそう何度も対戦できるわけではありません。
しかし、もしAIがプロゲーマーのプレイスタイルを完全再現できたらどうでしょうか。そのAIをダウンロードすれば、オフライン環境でいつでもプロゲーマーと対戦できることになります。
「ストリートファイターV」を始めとして、最新の格闘ゲームでは、人間同士の戦いを記録した膨大な数のプレイデータがサーバに蓄積されています。そうしたプレイデータは映像として記録されているのではなく、1/60秒単位で進行するゲーム内時間と、プレイヤーが操作したゲームコントローラのレバーやボタンの入力データで構成されています。
サーバには当然、プロゲーマーのプレイデータも保存されているので、このデータ群をAIに学習させて特定のプロゲーマーのプレイスタイルを再現することは技術的には可能なはずです。
こうしたプロゲーマーAIには、有料のダウンロードコンテンツのような商品価値が生まれる可能性もあるでしょう。はたまた、プロゲーマーAI同士を戦わせるような「新しいeスポーツシーン」が生まれるかもしれません。
遊びやエンターテインメントにおいて、AIが価値あるコンテンツとなる未来はすぐそこまで来ているような気がします。
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