苦境のミクシィ、M&Aに活路 渋谷“ビットバレー”新拠点でV字回復に意欲
「今後も積極的にM&Aを展開し、新規事業に参入していきたい」とミクシィの大澤弘之CFOが意欲。渋谷の新オフィスに移転し「働く環境を整え、新しい事業が展開できるようにしていきたい」という。
「今後も積極的にM&Aを展開し、新規事業に参入していきたい」――ミクシィの大澤弘之CFO(最高財務責任者)は12月10日、同社の新オフィス内覧会でそう話した。同社の2019年4〜9月期連結決算は、最終益が前年同期比83.0%減と厳しい状況だったが、大澤氏は「モンストの復活とスポーツ事業の育成に注力しながら、積極的にM&Aも行っていく」と業績の建て直しに意欲を見せた。
同社は今年、競輪車券のWeb投票サービスを展開するチャリ・ロト、競馬情報サイト「netkeiba.com」を運営するネットドリーマーズなど5件のM&Aを実施。大澤CFOは「直近の新しい買収予定はない」と前置きしつつ「いくつかは検討段階にある」と明らかにした。
「家族写真シェアアプリ『みてね』が年賀状バージョンをリリースしたように、成果が出ている事業もあれば、育成段階のものもある。既存の事業がうまく回るように足固めをしながらも、M&Aを積極的に進めて新規事業に参入していきたい」
オフィス移転で「コミュニケーション活性化」
大澤CFOがもう1点、業績回復の一手と期待を寄せるのが、ミクシィのオフィス移転だ。渋谷近辺の5カ所に分散しているオフィス機能を、11月に開業した複合施設「渋谷スクランブルスクエア」に集約。順次移転を始め、20年3月から本格稼働する。
これまでは、社内でも拠点が違うために徒歩10分をかけて打ち合わせを行うなど、日頃からコミュニケーションのしづらさを感じる場面もあったという。拠点を1カ所に集約することで物理的なアクセスをしやすくする他、同社初の社員食堂も導入し、業務効率化とコミュニケーション活性化を後押しする。
渋谷は2000年前後のネットバブル期、ベンチャー企業が多く集まり「ビットバレー」とも呼ばれた。大澤CFOは「渋谷はWeb企業やIT企業、クリエイターが多く、新しいものが生まれる刺激的な街。ミクシィも新しいオフィスで働く環境を整え、新しい事業が展開できるようにしていきたい」と意気込んでいる。
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