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ドラクエウォーク開発秘話 愛されるゲームはどう作る? ニューヨークで堀井雄二さんら語る

Appleから「進化した名作ゲームたち」としてNYCで紹介されたドラクエウォーク。堀井雄二さんとスクエニのキーパースンに話を聞いた。

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 累計ダウンロード数が1000万を超えたスマートフォンゲーム「ドラゴンクエストウォーク」。30年以上の歴史があるドラクエシリーズが、現代のモバイルデバイスやコンソールの進化に合わせて形を変えた。根底にある面白さを失うことなく、ファミコン世代からスマホネイティブ世代まで幅広いプレイヤーに遊んでもらえる秘訣は何なのか──。

 Appleがこのほどニューヨークで開催したイベント「Best of App 2019」で、ドラクエシリーズの生みの親である堀井雄二さん、スクウェア・エニックス取締役でドラクエシリーズのエグゼクティブプロデューサーを務める三宅有さん、ドラクエウォークのプロデューサーである柴貴正さんの3人に話を聞くことができた。

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「ドラゴンクエストウォーク」チームの3人。左から三宅有さん、柴貴正さん、堀井雄二さん

縦型画面vs.横型画面 ゲーム性の違い

 Appleはイベントの中で、2019年のゲームトレンドとして「進化した名作ゲームたち」をショーケース。昔から愛されてきたコンソール発のゲームシリーズを題材に、iOSやtvOSなどのプラットフォームで新たな命が吹き込まれたタイトルを紹介した。日本からは任天堂の「マリオカート ツアー」と「ドクターマリオワールド」、ポケモンとDeNAが開発した「Pokemon Masters」、そしてスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストウォーク」が表彰された。

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 コンソールゲーム機のハードウェアを持っている層はパイが固定されがちだが、スマホゲームの世界は広い。柴さんは「スマホに対応するということは、1番大きくパイを取れる」と力説する。年齢層や国を超え、さまざまなユーザーにプレイしてもらえるポテンシャルを秘めている。

 アプリをデザインする際は、ターゲットとなるプレイヤーの年齢層、地域、ゲームの性質なども加味して、縦型か横型かを決定する。堀井さんは「(縦・横で切り替えるのではなく)縦に持ったままのほうが遊びやすい」と笑う。

 縦型のままプレイするゲームは、片手でも操作できたり、ちょっとしたスキマ時間に遊べるようなライトなゲーム性のものだ。通勤・通学中にプレイでき、短い時間で起承転結ができるゲーム設計になっている。横型でプレイするゲームは、ある程度まとまった時間をかける必要があるが、複雑さやリッチな内容を実現できる。

 三宅さんは「どの地域で出すか、どんなお客さんに遊んでもらうか、どういう内容のものを作りたいかによって、縦型にするか横型にするかが決まってくる」と説明する。

ドラクエのローカライゼーションは時間をかけて

 ドラクエウォークは、直近では予定はないが、いずれは海外展開も視野に入れているという。世界中でコンテンツが愛されるためには、世界観を正しく伝えるローカライゼーションが必要だ。ドラクエシリーズはテキストベースのせりふも楽しみの大きな部分を担っている。そのため、既に海外展開をしたドラクエ作品では、テキストをある言語から別の言語に翻訳するだけでなく、ストーリーの中でせりふの担う意味やニュアンスまで伝えなければならなかったという。

 三宅さんは「世界を旅するテーマが多いドラクエシリーズでは、同じ言語の中でも別の訛りを混じらせることで、別の地域に来たことを表現している」と明かす。堀井さんが日本語で書いたダジャレもうまく言い換えるなど、重要な部分であるからこそじっくり時間をかけて行っているそうだ。

根底にある面白さ ポケGOとの違い

 どの時代、どの画面になっても、「ドラクエシリーズの根底にある面白さは変わらない」と柴さんは話す。冒険していく楽しさや、レベルアップしていく面白さはそのままに、新しいプラットフォームに合わせた、新しいゲーム性を追加していく。ドラクエウォークの場合は、現実世界で歩くというのがその要素だ。

 NianticのポケモンGOとも比較されがちだが、GPSを使うという点以外の、根本的なゲームの性質が異なるという。柴さんは「ポケモンGOは、ポケモンを採集していくコレクション性の面白さがあり、ドラクエウォークは同シリーズに共通するレベルアップし、装備品を変えていくという面白さがある」と話す。ドラクエの根底にある面白さのエキスを逃すことなく、新しい技術やプラットフォームに対応することを心掛け、コンソールからのファンの層からも愛されるように工夫しているという。


 このインタビューとAppleイベントレポートは、YouTube動画でも公開されている。

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