ニュース
8種のインクを毎秒50回切り替え可能 超高速の3Dプリンタ、ハーバード大が開発:Innovative Tech
複数の素材を組み合わせて超高速にオブジェクトを作成できる技術が開発された。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米ハーバード大学の研究チームが11月に発表した「Multimaterial Multinozzle 3D」(MM3D)は、複数のインクを超高速で切り替え可能な3Dプリンタだ。
MM3Dは、最大8種類の異なるインクを1秒間に50回切り替え可能なプリントヘッドで構成される。プリントヘッド自体も、3Dプリンタで生成したものだ。
高速切り替えの鍵は、プリントヘッド内の一連のY字型接合部にある。複数のインクチャンネルが単一の出力ノズルに集まる設計だ。ノズルの形状、印刷圧力、インク粘度を全て計算し、印刷中のインクの混合や逆流を防ぐため調整している。
従来の押出ベースの3Dプリンタに比べ、数分の一の時間でオブジェクトを生成できる。そのためエポキシ、シリコーン、ポリウレタン、バイオインクなど、時間とともに特性が変化する反応性材料も使用可能だ。異なる特性を持つ素材も統合できるため、剛性素材と柔軟素材の両方を含んだオブジェクトも生成できる。
実験では、剛性素材と柔軟エラストマーを合成した複数の足を備えたロボットを作成。空気圧を送り込み交互に収縮させることで前進させる。自重の8倍の負荷まで耐えられるため、軽量な荷物であればゆっくり運搬できる。ロボットの動きは、動画で確認してほしい。
関連記事
- NVIDIA、1枚の静止画で動きを合成 GANを用いた手法を開発 ダビデ像も踊り出す
ダビデは踊り、モナリザは表情を変える。 - 人からロボットへ自然に手渡し、フェイントにも対応 ディズニーが技術開発
驚くほどスムーズな受け渡しが、人からロボットへ行われる。その仕組みとは……。 - 蜘蛛の「眼」に学ぶ超小型深度センサー ハーバード大学など開発
正確に標的の場所を捉える蜘蛛の眼の仕組みを応用すると、超小型の深度センサーを作ることができる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.