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エコー画像から乳がん判別 東北大、ディープラーニング活用の新システム 医師の勘と経験に頼らず診断
東北大が、乳房のエコー画像から乳がんを判別する新システムを開発したと発表。複数の画像を分析して腫瘤(しゅりゅう)を発見し、良性・悪性を識別する。乳がん診断の精度を高め、医師の負担軽減と患者の適切な治療につなげる狙い。
東北大学は12月20日、ディープラーニングの技術を活用し、乳房のエコー画像から乳がんを判別する新システムを開発したと発表した。複数の画像を分析して腫瘤(しゅりゅう)を発見し、良性・悪性を識別できる。乳がん診断の精度を高めることで適切な治療につなげ、医師と患者の負担を軽減する狙い。
乳がんのエコー検査ではこれまで、医師が勘と経験に基づいて画像を分析し、良性腫瘤を悪性だと診断する例があった。腫瘤を詳しく調べるために、乳房に針を刺して組織を抽出する検査を行うことも多く、患者の精神的・肉体的負担も増大していた。
新システムでは、ディープラーニングの一種「畳み込みニューラルネットワーク」(CNN)を活用。1人の患者を撮影した複数の画像から特徴を抽出し、腫瘤の有無と良性・悪性を識別するため、患者の負担を軽減できるとしている。
まだ実用化には至っていないが、研究段階では悪性腫瘤は90.9%、良性腫瘤は87.0%の精度で正しく識別できているという。
東北大大学院の山口拓洋教授らの研究グループが、ソフトウェアベンダーのSAS Institute Japanと共同で開発した。東北大は「実用化した場合は医療費の削減も期待できる」としている。
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