人差し指にQWERTYキーボードをかぶせ、片手で文字入力 米ダートマス大学など「TipText」開発:Innovative Tech
指サックのようなQWERTYキーボードを人差し指にかぶせ、親指でタッチして文字入力する。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米ダートマス大学、香港城市大学、独ザールラント大学、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の研究チームが10月に発表した「TipText」は、人差し指にかぶせるQWERTY配列タッチキーボードを使い、片手だけでテキスト入力が可能なシステムだ。
TipTextは、26個のキーを持つQWERTYキーボード配列を人差し指に搭載したマイクロキーボード。キーボードや指の動きを見ずに片手でテキスト入力が可能になる。
プロトタイプには、3×3静電容量式タッチセンサーマトリックスを搭載する指サック型デバイスを用いている。
人差し指の内側、第一関節までをキーボードエリアとし、2×3のグリッドレイアウトで26個のキーを配置している。配置されたキーを、同じ手の親指でタップ入力する。
単語の入力方法
どのアルファベットが入力されたかを判断する。26個のキーは6つに分割されているため、タップエリア6に対して26アルファベットの区別が必要。左上をタップしても「Q」「W」「E」「R」のどれが入力されたか特定できない。特定には、入力されたアルファベットから予測される候補の単語から決定するプロセスを採用する。例えば「hello」を入力したい場合、以下の順番で入力。
- 中央下をタップする。「F」「G」「H」「C」「V」「B」のどれかが入力される
- 左上をタップする。「Q」「W」「E」「R」のどれかが入力される
- 右下をタップする。「J」「K」「L」「N」「M」のどれかが入力される
- もう一度右下をタップする。「J」「K」「L」「N」「M」のどれかが入力される
- 最後に右上をタップする。「I」「O」「P」のどれかが入力される
タイプ中は常に候補の単語を下部に3パターン表示する。今回の場合「hello」「fellow」「common」を表示。右スワイプで「hello」を選択、決定すると入力が完了する。
アルファベットをタイプしている途中は、横からのぞいても何を入力するか分からず、最後の単語決定でやっと分かる。「hello」の入力途中4タイプ目では、「cell」が有力候補として表示されている。
単語を入力すると、スペースが自動挿入され次の単語入力に進める。また、タイプミスも考慮しており、修正した候補の単語を表示する仕組みもある。
ユーザーが入力したい単語を正確に予測するには、26個のキーを何分割にしてどの区分にどのアルファベットを配置するかが重要になる。実験を通して、2×3のグリッドレイアウトのこのアルファベット配置が、114万6484通りある組み合わせの中で最高スコアであることを実証した。
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