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VRのハンドトラッキング範囲を拡張する「Pursuit Sensing」 東北大学など開発Innovative Tech

Leap Motionをジンバルにマウントさせるという手法でVRハンドトラッキングを広範囲で利用できるようになる。

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Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東北大学と仏リヨン大学の研究チームが2019年10月に発表した「Pursuit Sensing」は、VR(仮想現実)ハンドトラッキングの計測範囲を拡大するシステムだ。

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左:Pursuit Sensingプロトタイプ、右:プロトタイプを体に固定した様子

 従来のハンドトラッキングは、VR HMD(Head Mounted Display)内蔵センサーを使用するか、前方に外部モーションセンサーを取り付けて使用するかが一般的。どちらも、手指を安定して計測可能な範囲はセンサーの角度とユーザーの頭の向きに依存する。そのため、高精度なハンドトラッキングは、限られた計測範囲内でしか実現できない。

 本研究では、既存の光学式ハンドトラッキングセンサーのトラッキングエリアを動的に拡張するシステムを提案する。デバイスは、アクションカメラ用3軸ジンバルとLeap Motionセンサーを組み合わせたウェアラブルなもので、GoPro用チェストストラップマウントなどで胸部に固定する。ジンバルが、手の動きに合わせて動き、センサーの角度を変化させることでトラッキングエリアを拡大する。

 Leap Motionのフレーム毎に、手の位置と速度をそれぞれの手の中心から取得し、手とセンサーの距離、そしてピッチ角とヨー角の2つの回転値を計算し、ジンバルに伝送する。そして、VRインタラクションにおける急激な動きに対応するために手の速さに合わせてカメラセンサーの焦点をずらすアルゴリズムも提案している。

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Pursuit Sensing追跡範囲のテスト、左:ピッチ、右:ヨー

 実験は、プロトタイプを固定した状態で実施した。その結果、センサー自体のピッチ方向のトラッキングエリアが142%の増加、ヨー方向のエリアが44%の増加。つまり、ピッチ290度、ヨー216度のトラッキングエリアを実現する。

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オレンジがセンサー自体が動く範囲、青がセンサーのトラッキングエリア

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