GoogleとAlphabetのCEO、ピチャイ氏「AIは法による規制が必要」
AlphabetとGoogleのCEOを務めるスンダー・ピチャイ氏が、AIを安全に使うためには国際的な法による規制が必要だとあらためて主張した。
米Alphabetおよびその傘下のGoogleでCEOを務めるスンダー・ピチャイ氏が英Financial Timesへの寄稿で、「AIは法による規制が絶対に必要」と主張した。
ピチャイ氏は1月20日付の記事で、「AIは法規制される必要があると確信している。規制しないでおくには重要過ぎる。唯一の問題は、そのアプローチ方法だ」と述べた。
同氏は顔認識技術の悪用による「ディープフェイク」を例に挙げ、「既にこうした懸念に対処する取り組みはあるが、将来的には1企業や1つの業界だけで解決することが難しい問題が起きるだろう」と警鐘を鳴らした。
ピチャイ氏は2018年6月に公開したGoogleの「AIの倫理原則」に触れ、「紙の上の原則だけでは意味がないので、われわれはこれを実効するためのツールを開発し、オープンソース化した。(中略)政府による規制も重要だ。欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)はAI規制のための強力な土台になるだろう。(中略)規制には、潜在的な害悪と社会的機会のバランスに配慮したアプローチが必要だ」と語った。
ピチャイ氏は20日、EUの競争政策担当コミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏と会う予定だ。ベルギーのシンクタンクBruegelが同日開催したカンファレンスで、ヴェスタヤー氏との会合について質問されたピチャイ氏は「AIの規制について話し合うのが楽しみだ。AIの規制はプライベートセクターと政府が協力し、国際的なフレームワークを構築する必要がある」と語った。
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