Avast、匿名化ユーザーデータ販売サービス「Jumpshot」を終了 批判を受け
ウイルス対策アプリメーカーのAvastが、傘下のJumpshotを介して匿名化したユーザーデータを企業に販売していたことについての批判の高まりを受け、Jumpshotの運用を終了すると発表した。
チェコのウイルス対策アプリメーカーAvast Softwareは1月30日(現地時間)、傘下のJumpshotの運用を直ちに終了すると発表した。同社のセキュリティソフトのユーザーのデータをJumpshotを介して広告主企業に販売していると報じられ、批判が高まったことを受けたものだ。
オンドレイ・ヴルチェクCEOは公式ブログで「Avastのコアミッションは世界中の人々を守ることだ。Jumpshotに関する先日の報道が、多数の人々を傷つけ、根本的な信頼を揺るがせたことを理解している。関係者全員に謝罪したい。(中略)Jumpshotのためのデータ収集を終了し、Jumpshotの運用を直ちに終了することを決定した」と語った。
27日の米Motherboardと米PCMacの共同調査に基づく報道によると、Avastはウイルス対策ソフトを介してユーザーのネット上のアクティビティデータを収集し、それを子会社であるJampshotを介して様々なパッケージにして広告主に販売していた。このデータには検索や訪問したURLとタイムスタンプなどが含まれる。Avastはデータ収集は「オプトイン」でユーザーに許可を得ており、販売するデータは匿名化していると説明したが、Motherboardはデータからの個人の特定は可能だという専門家の意見を紹介している。
ヴルチェク氏は、Avastのデータ収集もJampshotによるデータ販売も、「完全に法的範囲内」の行為であり、「GDPRコンプライアンスを完全に順守」していると強調した。
Jumpshotの現在の顧客に対して終了について通知し、ベンダーとサプライヤーには契約完了まで支払いを続ける。Avast製品については変更はしない。同社は「当社はユーザーの皆様の端末から取得したデータを用いて、大量の脅威データを機械学習と人工知能で分析することで、人間だけでは検知できない脅威パターンやセキュリティ上の問題を特定しています」としており、今後も分析目的での合法的なユーザーデータ収集は継続する模様だ。
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