道路使用許可なし、警察の職質シーンも――富士フイルムのカメラ販促動画炎上、削除までの一部始終(2/2 ページ)
富士フイルムがYouTubeで公開したカメラのプロモーションビデオがTwitter上で「盗撮を推奨しているようだ」と指摘され、炎上した。PVの企画意図から配信停止までのいきさつを同社に聞いた。
鈴木さん、スタッフとも許可なし撮影 警察に写真を確認される場面も
今回のPVは、「X100Vの、小型軽量で機動性に優れているという特徴をアピールするため」に作成したという。企画立案から撮影、編集までを社内で行ったとしている。
問題となっているのは鈴木さんの撮影スタイルだ。富士フイルムは鈴木さんを採用した理由について「ストリートフォトグラファーとして海外で高い評価を得ていると認識していたため」としている。実際に、鈴木さんはイタリアの写真コンテスト「URBAN 2018 Photo Awards」で審査員長を務めるなど、写真家としての実績を残している。
問題のPVは主に渋谷で撮影した。鈴木さんは撮影をする際、被写体となる通行人には事前事後を問わず許可を得ていなかったという。加えて、鈴木さんを撮影する富士フイルムのスタッフも警察に道路使用許可の申請はしていなかった。無許可で撮影した理由について同社は「今回の撮影に関しては、許可は必要ないと認識していた」と説明している。
警視庁の「ロケ撮影と道路交通法について」という資料によると、ロケーション撮影や宣伝行為は要許可行為に定められている。東京都産業労働局観光部・東京ロケーションボックスは、「都内の道路・歩道・地下道などでロケを希望される場合には所轄の警察署に道路使用許可申請を行ってください」と、撮影時の道路使用許可を求めている。
PV内には、鈴木さんが警察と話をしている場面があるが、これについては「カメラに写っている画像の確認を求められ、応えたもの」だとしている。
Twitter上では、「完成したPVを見て、社内で誰も炎上しそうだと思わなかったのか」と疑問の声も上がっている。富士フイルムは、そのような意見が社内で出たかという問いに対しては言葉を濁し、「(社内での)チェックが不十分だった。不快な思いをさせることになって申し訳ないと思っている」と答えた。
2月5日に問題のPVを公開した後、同社の社員がTwitter上でPVが炎上していると気付いたという。その後、「社内での協議の結果、動画を取り下げるべきだと判断した」(富士フイルム)としている。
同社は謝罪文の中で、「多くの意見・指摘を真摯(しんし)に受け止め、今後このようなことがないよう努める」との姿勢を見せ、「引き続き写真の素晴らしさを多くの人々に受け止めてもらえるよう取り組む」としている。鈴木さんのTwitterアカウントは2月7日の時点で非公開になっている。
【編集履歴:2020年2月12日午後1時 道路使用許可について、警視庁と東京都産業労働局観光部・東京ロケーションボックスのガイドラインを追記しました】
関連記事
- アルミで質感を高めた高級コンデジの第5世代目「X100V」、富士フイルムが発売
富士フイルムがコンパクトデジタルカメラ「X100V」を発表した。2011年に登場し、“プレミアムコンパクト”の先駆けとなった「X100シリーズ」の5世代目。2月下旬から順次発売する。 - 富士ゼロックス、米Xeroxと提携解消へ
富士ゼロックスは1月6日、米Xeroxとの間で結んでいた提携を2021年3月31日付で終了すると発表した。同年4月1日からは社名を「富士フイルム ビジネスイノベーション」に変更し、事業拡大を図る。 - 1億画素の衝撃! 富士フイルム「GFX100」を試す
フルサイズセンサーより一回り大きなラージセンサー1億画素。これが予想以上にすごかった。クオリティー的にもすごいし、ファイルサイズがデカすぎてすごい。 - 「すごいカメラ」と「ヘンなカメラ」が存在感を示した2019年
2019年のカメラで印象的だったのは、「すごいカメラ」と「ヘンなカメラ」が目立ったこと。完成度は高いんだけど強い個性がないカメラが埋もれちゃってもったいないというくらい、印象的なカメラがいっぱい出てきた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.