メルカリ、初の実店舗や無人投函ボックスを展開 国内事業を強化 山田社長「フリマアプリ市場はポテンシャルがある」
メルカリが中核事業であるフリマアプリ「メルカリ」国内事業の新しい取り組みを発表。同社初となる実店舗業態や無人発送ポストを展開する。
メルカリが、中核事業であるフリマアプリ「メルカリ」国内事業の強化に乗り出す。同社は2月20日、初の実店舗「メルカリステーション」や無人の投函ボックス「メルカリポスト」などを発表した。顧客の利便性を高め、GMV(流通総額)をさらに伸長し、“勝負の年”と位置付ける2020年6月期(19年7月〜20年6月)の成長を加速させる。
今春、初の実店舗「メルカリステーション」を新宿マルイ本館にオープンする。メルカリでの出品経験がない潜在顧客を対象に、出品する商品の写真撮影や梱包資材の購入、梱包作業、発送までができる場所を用意する。
実店舗では、利用者が店舗スタッフから「メルカリ」の使い方を学べる。アプリの使い方をはじめ、発送までワンストップで行える。来夏には主要都市のマルイ店舗10カ所にもオープン。全店舗への展開も視野に入れる。
【修正履歴:2020年2月25日午後2時40分 当初、マルイ店舗10カ所のオープン時期を「今夏」と記載しておりましたが、正しくは「来夏」でした。お詫びして訂正いたします】
商品を発送できる無人の投函ボックス「メルカリポスト」も、2023年までに全国5000カ所に設置する計画だ。出品者は商品が売れた後、アプリに表示されるQRコードをメルカリポストにかざすと、自動で発送ラベルを出力できる。発送ラベルを商品に貼付し、ポストに投函すると発送が完了する仕組みだ。
メルカリポストはメルカリステーションに加え、今夏には全国のドコモショップなどにも設置する予定だ。
パナソニックとも協業し、メルカリポストの次世代版「メルカリポストプラス」の開発にも着手する。メルカリポストプラスでは、出品する商品の自動採寸、出品者の顔分析、無人レジなどの機能を搭載するという。
こうした取り組みの背景には「メルカリアプリの使い方が分からない」「発送や梱包する時間がない」「近くに発送できる場所がない」――といった顧客の要望があるという。アプリの使い方を学べ、出品準備から発送までワンストップで行える実店舗と、無人ポストを全国展開することで、こうした課題を解消する狙いがある。
メルカリの山田進太郎社長は、「日本での『不用品』といわれる物の年間推定価値は約7.6兆円とされ、フリマアプリ市場はポテンシャルがある。(われわれも)まだまだできることがある」と期待を寄せた。
二次流通データを開放へ
メルカリはGMVを伸ばすため、取引データ(二次流通データ)を、小売りやメーカーなど一次流通企業に開放する方針も打ち出した。提携する一次流通企業の顧客データと、メルカリの顧客データを組み合わせ、双方のアカウントにある購入履歴などを共有。提携企業は自社データに加え、メルカリ上の購入・検索・閲覧などのデータも把握でき、自社ECサイトや店舗で顧客の好みに応じた商品提案などを行える。
提携企業が保有する商品のカタログデータと、メルカリに出品されている商品をひも付け、商品ごとにメルカリ内の動向データを可視化する──という試みも行う。地域や属性別の出品・購入数、出品価格、閲覧数などを可視化し、提携企業がマーケティングや商品企画に活用できるようにする。
提携企業の顧客IDとメルカリのIDを連携させることで、双方の顧客にもメリットが生まれる。例えば、提携企業のサイトなどでの購入履歴をメルカリに自動で反映できるようになり、メルカリでの出品時に商品説明や価格を入力する手間を省ける。
こうしたデータ連携は、メルカリ上の取引量の約4割を占めるファッション分野の他、コスメカテゴリーで進めていく。
国内事業の強化で成長を加速できるか
メルカリは過去、事業の多角化を模索してきたが、自転車シェアリングの「メルチャリ」、旅行ブログの共有アプリ「メルトリップ」などからは撤退。現在は日本国内と米国のメルカリ事業、スマートフォン決済事業「メルペイ」を3本柱とし、収益増を目指す。
同社を支える中核事業は、メルカリの国内事業だ。同事業単体での20年6月期第2四半期累計(19年7〜12月)の売上高は、前年同期比20.0%増の265億円、営業利益は51.0%増の67億円だった。
同事業のMAU(月間アクティブユーザー数)は前年同期比24.0%増の1538万人。第2四半期単体でのGMV(流通総額)は20.0%増の1544億円となり、四半期単位では過去最高を記録。前年度の第3四半期から2期連続で減少していたGMVの立て直しに成功している。
今回の取り組みによって、メルカリ国内事業のGMVを伸長させられるか──。
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