AIだけで曲を作ったら”人っぽい部分”が見えてきた 作詞作曲、歌、仕上げも全部AI(1/5 ページ)
AI歌声合成ソフト「NEUTRINO」が2月に登場し、話題になったのを見て、私は「作詞や作曲、仕上げをするAIはすでにある。AIだけで曲を作れるのではないか」と考えた。全工程をAIが担当した楽曲を作ってみると、AIの人間らしさや、AIとの関わり方が見えてきた。
突然だが、まずはこの曲を聴いて欲しい。タイトルは「Please turn ture Sky」だ。
もうお分かりだと思うが、この懐かしいフォークソングのような雰囲気の曲は、最初から最後まで全てAIが作ったものだ。人間が加工してブラッシュアップした部分はない。
2月22日に、楽譜を入力すれば自動で人間のような歌声を出力するAI歌声合成ソフト「NEUTRINO」(ニュートリノ)が登場した。何もしなくても勝手に人間のように歌うということで、ネット上で話題になっている。
そこで私は考えた。「作詞や作曲、仕上げをするAIはすでにある。もしかして、AIだけで曲を作れるのではないか」。作曲AIのデモソングは今までもあったが、AIが作った曲を人間がブラッシュアップしたものが多く、全工程AIという曲はなかなかない。
今回はAIの力を総動員して楽曲制作してみた。制作を通してAIと触れ合ってみると、「AIシンガーは息継ぎをしないと歌えない」「AIには適切な指示を出さないといけない」といった、まるで人間のような特徴と、そのAIと付き合うコツが分かってきた。
目次
人間が多少下働きすれば、AIで楽曲制作はできる
楽曲制作の流れは人によりまちまちだが、今回は作詞から始めて、作曲、ボーカル収録、全体のバランスを整える「ミックス」、最終的な楽曲の調整作業「マスタリング」までの全工程をできる限りAIだけで行う。
AIといっても、その意味には幅があるが、ここでは広く「機械学習」「統計モデル」「確率モデル」などをベースに作られたツールを採用した。
人間の私がやるのは、AIに「明るい曲を作ってほしい」「音圧高めにしてほしい」といった大ざっぱな要望を伝えることのみ。また、全工程をAIが主体となって行うことがコンセプトなので、エラーでもない限りはAIが出力したテキストや音声に手を加えないようにした。
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