楽天の“送料無料化”、公取委が緊急停止命令の申し立てを取り下げ 一律導入を延期で「緊急性薄れた」
公取委が、楽天市場の送料無料化を巡り、東京地方裁判所に申し立てていた緊急停止命令を取り下げると発表した。楽天が6日に送料無料化の一律導入を延期したため、「緊急性が薄れた」としている。独占禁止法違反(優越的地位の濫用)に対する調査は継続する。
楽天がECサイト「楽天市場」で一定額以上を注文した顧客の送料を無料とし、出店者側に送料の全額負担を求めていた件について、公正取引委員会は3月10日、東京地方裁判所に申し立てていた緊急停止命令を取り下げると発表した。楽天が6日に送料無料化の一律導入を延期し、準備が整わない一部店舗は適用対象外となる仕組みを発表したため、「緊急性が薄れた」としている。独占禁止法違反(優越的地位の濫用)に対する調査は継続するとしている。
楽天は当初、楽天市場で税込3980円以上を注文した顧客に対し、3月18日から送料を一律0円にする予定だった。この制度がスタートした場合、楽天側には新規顧客の獲得と売上の増加が見込まれる一方で、出店者側が送料を全額負担する必要があるため、出店者団体らは「損失につながる恐れがある」と反発していた。
これを受け、公取委は2月10日、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の可能性があるとして楽天を立ち入り検査。同月28日には、楽天に対して送料無料化の緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てた。
その後、楽天は3月6日に送料無料化の対象を「準備が整った一部店舗」に変更すると発表。準備が間に合わない店舗は、送料無料化の適用対象外にするよう楽天に申請することも可能とした他、送料無料化の適用後に収益が悪化した出店者に支援金を一定期間給付する「安心サポートプログラム」を発表するなど、店舗側に歩み寄る姿勢を見せた。
公取委は、楽天による発表内容を踏まえて取り下げを決めたといい「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断した」と説明している。
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