AWS、コンテナに最適化したLinuxベースのOS「Bottlerocket」をオープンソースで公開
AWSが、コンテナ実行専用に開発されたLinuxベースのOS「Bottlerocket」をオープンソースで公開した。コンテナ環境に特化することで、ストレージやメモリのオーバーヘッドなどの課題解決を目指す。現時点でAmazon EKSに対応し、Amazon EKSでBottlerocket更新を管理できる。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWS、コンテナに最適化したLinuxベースのOS「Bottlerocket」をオープンソースで公開」(2020年3月12日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Amazon Web Servicesはこのほど、コンテナ実行専用に開発されたLinuxベースのOS「Bottlerocket」をオープンソースで公開したことを明らかにしました。
一般的なLinuxディストリビューションで提供されているOSはコンテナ環境に最適化されているわけではないので、コンテナの実行には不要なソフトウェアが含まれていることなどによるストレージやメモリのオーバーヘッドや、不要なネットワークポートが空いていることによるセキュリティのリスク、アップデート時に発生するパッケージの不整合などによる何らかのエラーの可能性、そして手間のかかるアップデート操作など、いくつもの課題が存在しています。
Bottlerocketはコンテナ環境に特化することで、こうした課題の解決を目指すOSです。
BottlerocketはLinux Kernel 5.4とコンテナの実行に必要な最小限のソフトウェアで構成され、オーバーヘッドをできるだけ排除。主にリードオンリーのファイルシステムを利用し、ブート時には自己の整合性をチェックして起動するなど、コンテナの実行に最適化されています。
OSのアップデートは単一イメージを用いてアトミックに行われるためシンプルかつロールバックも可能。と同時にパッケージごとのアップデートではないため、パッケージ相互のコンフリクトも発生しません。
大規模クラスタで用いられたときにもOSのアップデート手順がシンプルで自動化も容易になります。現時点でAmazon EKSに対応し、Amazon EKSでBottlerocket更新を管理できると説明されています。
Bottlerocketは現在、パブリックプレビューとして公開。GitHub上ではコードも公開されています。
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