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「人力に頼るのはもう無理」 新型コロナの情報をAIで検知するJX通信社の挑戦(1/2 ページ)

新型コロナウイルス感染症に関する情報が、国内外で日々発信されている。JX通信社は、AI技術を活用し、確度が高い最新情報を迅速に配信する仕組みを確立している。

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 「今後、新型コロナウイルスの感染者数が世界的に増えていくと、情報の収集・集計を人力でやるのはまず無理です。いまのスピード感を維持していけるのは当社だけでしょう」――JX通信社の細野雄紀取締役CXO(Chief Experience Officer)は、こう話す。

 3月25日時点で、日本国内の感染者数は1000人を超えており、世界でも感染者や死亡者が日々増えている。こうした情報は、発表する組織・団体によって集計方法や公表のタイミングにばらつきがあり、SNSなどでは偽情報も流れているため、人々が正確な情報を追うことは難しくなってきている。

 そんな中、AI技術を活用し、確度の高い情報をなるべくリアルタイムに配信しようと尽力しているのが“記者0人の報道ベンチャー”であるJX通信社だ。同社は、災害や事故などのリスク情報をSNS上から収集、配信するSaaSの「FASTALERT」や、個人向けの速報ニュースアプリ「NewsDigest」を提供。最近では両サービスで新型コロナ感染症に関する最新情報を配信している。


「FASTALERT」の新型コロナウイルス感染症に関する特設ページ(画像はイメージ)

 新型コロナウイルス感染症に関するFASTALERTの特設ページは、ユーザー企業へのヒアリングなどをしながらわずか1週間ほどで完成させたという。細野CXOは、「新型コロナの情報も、これまで扱ってきた事件や事故に関する情報と同等の精度で検知できている」と自信を見せる。なぜ、同社は正確な情報をいち早く捉えることができているのか。


FASTALERTでさまざまな情報を配信している(公式サイトより)

「企業絡みの感染者情報は、SNSが速い」

 FASTALERTは、SNSに投稿された画像や文章を解析し、災害や事件、事故などに関する情報を自動で収集する仕組みで、報道機関や政府・自治体、民間企業などが利用している。情報収集の作業を自動化しているため、手動で行うよりも幅広い情報を素早く集められる。AIによる自動検知でスピードを、画像と文章解析の組み合わせで正確性をそれぞれ担保しているという。感染者数など、ユーザーの目に触れる情報の反映については手動で行っている。

 ただし、火事や事故などと異なりウイルスは目に見えないため、従来の画像や動画解析とは異なる難しさもあるようだ。現在も精度高く検知できているが、今後は偽情報をフィルタリングする仕組みの精度をさらに向上させるなど対策を強化するとしている。

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