新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、携帯キャリアやプラットフォーム事業者などに統計データの提供を要請していた政府に対し、ヤフーは4月3日、データの提供などで協力する方針を発表した。
ヤフーは、ユーザーのプライバシー保護やプロセスの透明性を確保することを前提とした上で、個人情報を含まない統計データを分析した形で政府に提供するとしている。分析するデータの種類についてはユーザーに事前に知らせ、意向を確認する。
データの提供に際し、ヤフーは政府と協定を結ぶ。協定内容には、「提供するのは統計データに限り、統計データの作成方法は事前に公表すること」「統計データの利用目的を明確に限定し、目的の範囲内で利用することが担保されること」「統計データの提供は任意で行うもので、任意に提供を中止できること」「提供内容がどのように利用されたのか、有効性についてフィードバックがなされること」といった内容を盛り込む。
ヤフーは「ユーザーのプライバシーなどを十分に保護した上で、ビッグデータの力で新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策に貢献できる方法がないか検討を進めていく」と、個人情報保護を優先しながら協力する考えを示した。
一方、政府は要請の中で、「今後必要となった場合にはデータの提供を追加的に要請する可能性があり、個人情報保護法の例外規定による提供を想定している」と、個人情報を含むデータの提供を追加要請する可能性をほのめかしている。
個人情報保護委員会も4月2日に、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした個人データの取り扱いについて見解を発表。「今般の新型コロナウイルス感染症の拡大防止に当たっては、本人の同意を得ることなく目的外利用や第三者への提供が許されるという例外の適用が可能」と、ユーザーの同意がなくても国などへ事業者が個人データを提供するのは例外的に問題ないという考えを示した。
ヤフーは政府要請を踏まえつつ、「政府から追加的に統計データ以外の情報提供があった場合には、直ちに応じることなく対応についてあらためて検討し、内容については提供前に公表する」とした。
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