この“一見するとただの板”が、「DUMANG DK6 Mini」だ。これはキースイッチのユニットを載せるプレートで、マグネットでユニットを固定できるようになっている。ユニットには独Cherryのキースイッチ「Cherry MX」シリーズや、Cherry MX互換のキースイッチを差し込んで利用できる。
ユニットの一つ一つに「MCU」(Micro Control Unit)と呼ばれるマイクロプロセッサが搭載されており、一つ一つのユニットに任意のキーを割り当てられる。プレートとユニット側の端子に工夫があり、プレート上のどこに置いてもユニットとプレートがうまく通信し、キー入力を行えるようになっている。DUMANG DKシリーズは、プレートの大きさ以外はほぼ無限といってもいい配列や配置の組み合わせを試せるキーボードなのだ。
また、本機のカスタマイズは単なるキーマッピングだけではなく、特定のキーを押している際に全体のキーマップを変更する機能(レイヤー機能)や、事前に決めた一連のキー入力を行う機能(マクロ機能)も搭載している。
キーの設定やレイヤーの設定は「DUMANG App」(Windowsアプリ)から行える。ここでは左下に配置したFnキーが押されている間はレイヤーが1に切り替わり、レイヤー1ではWASDキーに対してカーソルキーが入力されるよう設定した
“理想だけ”じゃない実用性 自作キーボードの入門にもうってつけ
ここからはしばらくDUMANG DK6 miniを使ってみての感想になる。今回使用したモデルではキースイッチに中国Kailh Electronicsの“青軸”(カチカチと音が鳴るスイッチ)、キーキャップにはバックライト対応のPBT材質のキーキャップが搭載されている。
正直、当初はマグネット固定のために認識不良やぐらつきなどがあるのではないかと思っていた。しかし実際にタイピングしてみると全くの杞憂だったようで、認識不良は一切なく、ぐらつきも体感できるほどには発生しなかった。
気になった点を挙げるとすれば、キーを押してからPCに入力が反映されるまでの時間にごくわずかながらもラグがあるように感じた。入力速度の求められるゲームなどをする場合には問題になるかもしれないが、通常使用する上では全く問題はないといっていい。もう一つは設定アプリの「DUMANG App」が英語表示オンリーで、少々使いづらいUIであることだ。多彩な機能を備えたDUMANG DKシリーズだが、マクロやレイヤー機能を使いこなすのには慣れが必要そうだ。
DUMANG DKシリーズはレイアウト、キースイッチ、キーキャップ、どれをとっても自由度が非常に高く、それでいて実用性も高い。通常のキーボードに比べれば少々値段は張るが、自作キーボードに興味がありつつもハードルの高さから手を出せなかった人などに有力な選択肢となるのではないだろうか。
関連記事
- こっちの沼は深いぞ、自作キーボード組み立て入門 左右分離型の「Corne Cherry」で各工程を解説
今回は実際に自作キーボードを1台組み立てることで、組み立ての流れや各パーツの役割などを紹介していく。組み立てに選んだのは、左右分離型でコンパクトなキーボード「Corne Cherry」。 - なぜ日本で「自作キーボード」が流行り出したのか そのきっかけを振り返る
日本で自作キーボードが盛り上がった経緯や、自作キーボードの魅力、2019年版自作キーボード入門法などを前後編でまとめた。 - 自作キーボード入門法2019 開発者が教える「初めの一歩」
日本で自作キーボードが盛り上がった経緯や、自作キーボードの魅力、2019年版自作キーボード入門法などを前後編でまとめた。 - 「青軸」「茶軸」だけじゃない 自作キーボードで多様な進化を遂げた「互換キースイッチ」たちとその先にある改造の“沼”
キーボードの打鍵感の要となる「キースイッチ」が、自作キーボードの世界で多様な進化を遂げていることを今回は紹介していく。 - 「メンブレン」「静電容量無接点」「メカニカル」──なぜキーボードはキーを入力できるのか 打鍵感の要「キースイッチ」のキホン
今回はキースイッチの入力方式の大まかな分類と、その中でも自作キーボードでメインの話題となる「メカニカル方式」の概要についてお伝えしていく。 - キーを自由に再配置できる左右分離型メカニカルキーボード、秋月電子で発売
秋月電子で、キーを物理的に自由に再配置できる左右分離型のメカニカルキーボード「DUMANGキーボード」の取り扱いが始まった。価格は2万3990円(税込)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.