AppleとGoogle、新型コロナ「曝露通知」のAPI公開 日本を含む22カ国がアクセス済み
AppleとGoogleが、予告通り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露通知アプリのAPIを公衆衛生機関向けに公開した。日本を含む22カ国の政府当局からリクエストがあり、提供済みとしている。
米Appleと米Googleは5月20日(現地時間)、4月に発表した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝(ばく)露通知(Exposure Notification)アプリのAPIを提供開始したと発表した。
APIの提供対象は世界の政府の公衆衛生当局。Googleによると、日本を含む22カ国と、米国の多数の州政府の当局が、このAPIへのアクセス権を受け取ったという。
公衆衛生当局(日本の場合は厚生労働省)はこのAPIを使って独自の曝露通知アプリをiOSおよびAndroid向けに開発し、App StoreとGoogle Playストアで公開する見込み。
4月の発表では、5月にAPIを提供し、その後数カ月をかけて曝露通知の機能をOSに組み込み、アプリをダウンロードしなくても機能をオプトインで使えるようにする計画となっている。
AppleとGoogleはこの取り組みの発表後、36カ国以上の公衆衛生機関や研究者、プライバシー専門家などのフィードバックを受けながらシステムを開発してきた。特にプライバシーについては強化を重ねた。
このAPIを採用するアプリはBluetoothを利用し、端末の位置情報を収集せず、ユーザーがこの機能を有効にするかどうか、また、自分が新型コロナに感染したとアプリで申告するかどうかはユーザー自身が選択できる。曝露通知(新型コロナウイルスの感染者と過去に接触した可能性があるという通知)には、相手が誰かは具体的に分からないようになっている。さらに、AppleとGoogleは、このシステムが不要になった段階で地域ベースでシステムを無効にすることができる(政府がシステムを別目的に流用することを防げる)。
両社は発表文で「このシステムの成功は、ユーザーが使ってくれるかどうかにかかっている。われわれは強力なプライバシー保護が、システム利用を促進するための最善のアプローチだと考えている」と語った。
曝露通知サーバのリファレンス実装はGitHubでオープンソースで公開されている。
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