検索
ニュース

「僕は本当に入学していますか?」 コロナ禍で進む大学オンライン化、学生は困惑 教授らに実情を聞いた(4/5 ページ)

新型コロナウイルス感染症の流行で大学のオンライン化が急激に進んでいる。新型コロナの対応には困難を挙げればキリがないが、遠隔教育の可能性が一気に広がるチャンスでもある。今回は、5大学の教授たちに各大学の現状とオンライン化の難しさ、メリットを教えてもらった。

Share
Tweet
LINE
Hatena

第3の困難 学生の通信環境が不安定

──システムが使えるようになっても、オンライン授業を受けるのに十分なネット環境がない生徒もいると聞きました。

農工・三島先生 学生が契約しているデータ通信量の制限が厳しいです。大学に来れば無線LANが使えますが、家で授業を受けるとなるとどうしても課題になります。

 オンライン授業のためのシステム作りには悩みました。学生の通信量の負担を考え、ビデオ会議による授業は、なるべく減らしています。

 授業中、先生が話していない時間もビデオ会議をつなげているとずっとデータを消費してしまう。授業をあらかじめ録画し、映像を約15分ごとにカットして、話している部分だけ配信するようにすれば通信量を抑えられます。

長崎・丹羽先生 うちでは、緊急調査の結果、PCやネット環境が家にない学生が4人いたので、特例として、授業の時間だけ大学に来てPCを学内LANにつなげるようにしています。

第4の困難 大学の通信設備も不安定 授業情報配信ポータルがダウン

photo
長崎大学の丹羽量久教授(ICT基盤センター副センター長)

──大学には、学生に向けて講義の情報や教材を配信したり成績を通知したりするシステム「LMS」(Learning Management System)があります。最近、Twitter上ではLMSが落ちたという声が頻発していますね。各大学のLMSサービス名がトレンドに載ることもありました。

長崎・丹羽先生 講義の動画は、クラウド上に置いて、LMSにリンクを貼り付ける運用を標準にしていますが、LMSのサーバ上に直接置いてしまう先生も多い。すると学内のオンプレミスサーバがパンクするので、増設しています。

農工・三島先生 うちはLMSにコストがかけられず、アクセスが集中するのは不安でした。今はクラウドの活用が進んでいて、オンプレミスサーバにアクセスが集中しなくなり、サービスダウンの心配は減っています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る