VOCALOIDじゃない「初音ミク NT」は何が違う? 現役ユーザーが詳細レビュー(5/5 ページ)
クリプトン・フューチャー・メディアが4日にリリースした“VOCALOIDじゃない初音ミク”こと「初音ミク NT」を早速触ってみた。本当に欲しかった機能が盛りだくさんのお手本のような現代的歌声合成ソフトに仕上がっていた。
怒鳴り声、デスボイスも可
声の質感をコントロールする「Voice Drive」では声の震えが編集できる。やりようによってはデスボイスも作れる。旧Piapro Studioにも類似の機能はあったが、Voice Driveの方がより過激な音になる印象だ。
質感のバリエーションが複数あるので、好みに合わせて使い分けられる。初音ミクの声で使うビジョンはあまり見えないが。
声の若さ(厳密にはフォルマント)をコントロールする「Super Formant Shifter」も、類似の機能は昔からあらゆる歌声合成ソフトに搭載されているが、こちらは従来のものより過激すぎない効き具合だ。トリッキーな表現を行わないのであれば、効きが激しすぎないくらいが実用的かもしれない。堅実な作りだと感心した。
お手本のような現代的歌声合成ソフト
Piapro Studioと初音ミク NTには、波形表示機能やパワー系パラメーターといった最近の歌声合成ソフトらしい機能が搭載されていた。音質については好みが大きく分かれる印象だが、操作性に関しては特に文句はない。他の歌声合成ソフトと比べて処理も軽い。
個人的には、ピッチ編集や波形表示などの細かい仕様の変化がかなり気に入った。地味ではあるがこれがあるとないとでは評価が80点(感覚値)くらい変わってくる。
試作バージョンの今はミクの標準的な声を収録した「Original」の音源のみだが、正式版のリリース時には「Power」や「Soft」といった音源も追加されると予想できる(名称は予想)。機能追加もあるとのことなので期待は膨らむ。
正直、試作バージョンとしてのプロトタイプ版の進化は派手ではない。堅実だ。正式版ではもっと大きく派手に変わってくれると信じている。
近年では、AI技術によって何もしなくても人間のように歌えるソフトも登場しており、技術的な面ではそちらのほうが注目されがちだが、こういった“いじれる要素”の多いソフトは今後も十分に進化の余地がある。初音ミクの天下はまだしばらく終わらなさそうだ。
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