コロナ感染拡大で増益・減益する企業はどこ? AIがランキング予想
金融系AIベンチャーのxenodata lab.は、新型コロナの影響で増益・減益する企業のランキング予想を公開した。予想には同社の業績予想AI「xenoBrain」を使用したという。
金融系AIベンチャーのxenodata lab.(ゼノデータ・ラボ、東京都渋谷区)は6月9日、新型コロナの影響で増益・減益する企業のランキング予想を公開した。予想には同社の業績予想AI「xenoBrain」を使用したという。
ランキングは、「日本で感染拡大した場合」「米国で感染拡大が続いた場合」など、今後発生しうるシナリオごとの企業への影響度合いをまとめている。
日本では観光・外食産業、米国では自動車産業に打撃か
日本で感染拡大するシナリオで大きく減益すると予想された大手上場企業は、1位から順に、ANAホールディングス、スシローグローバルホールディングス、トヨタ紡織、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)。旅行の自粛やテレワークの実施による移動手段への需要、外食需要の減少が減益の一因と予想された。
一方で、感染拡大が止まらない米国でさらに拡大が続いた場合に大きく減益すると予想された大手上場企業の顔ぶれは一変する。1位から順に、SUBARU、豊田合成、ブリヂストン、TOYO TIRE(旧東洋ゴム工業)、日産自動車。いずれも、米国での自動車需要の減少が大きく響くと予想されている。
テレワーク関係や医療産業が増益か
逆に、感染が拡大・継続する場合に大きく増益すると予想されているのは、日本シナリオでは1位から順にTIS、イズミ、メルカリ、エス・エム・エス、シップヘルスケアホールディングス。米国シナリオでは1位からクボタ、ペプチドリーム、武田薬品工業、小野薬品工業、沢井製薬。
日本シナリオでは、データセンターやEC利用拡大、巣ごもり消費・内食、医療などへの需要の増加がこれらの企業の増益要因として予想された。
米国シナリオでは、クボタ以外の4社は米国での医療用医薬品の需要増加や高齢者や障害者向けの公的医療保険制度「メディケア」の加入者増、「オバマケア」の継続などが増益要因になるという。クボタの増益要因は水の需要増加だとしている。
xenodata lab.は「緊急事態宣言を受けた外出自粛による直接的かつ短期的な影響を受ける観光・宿泊、外食などの影響は一旦収まりつつある」とするが、「観光業では世界的感染拡大に伴う訪日外国人の大幅な減少により、中期的に影響する可能性も大きい」と、観光業や外食産業が依然として厳しい状況にあるとの見方を示した。
さらに、「自動車をはじめとするメーカーでは、生産停止や自粛による買い控えなど短期的に影響する要因が発生している。深刻な不況に伴う需要そのものの減少による本格的な業績への影響は感染拡大から平均5カ月〜6カ月と推定される」と予想。コロナ第1波の業績影響のピークは8月になるだろうと分析した。
同社は、「今後第2波、第3波と緊急事態宣言などによる厳しい自粛要請が起こると、このスコア(ランキング)や影響シナリオの時間軸はさらに変化していく」としている。
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