「一部は在宅、残りは出社」が社員の不満のもとに? 「不公平」「仕事を頼みにくい」などの声
「一部は在宅、残りは出社」といった勤務形態を取り入れている企業は、社員の不満・疑念を生みやすいようだ。パーソル総合研究所の調査で判明した。解消に向けては、上司のフォローや状況把握などの工夫が不可欠という。
テレワークをしている人とオフィスに出勤している人が混在する職場は、社員の不信感や不安感につながりやすい——。パーソル総合研究所は6月10日、こんな調査結果を発表した。労働環境が一律ではない場合は、テレワーカーは「自分は孤立している」「サボッていると思われないか不安」、出社している人は「不公平だ」「テレワーカーに仕事を頼みにくい」といった感情を抱きがちだという。
テレワーカーが約2〜3割の職場では、特にメンタル面に悪影響が生じやすいとの結果も出ており、同社は「“まだらテレワーク”は職場の人間関係にギスギス感を生む可能性がある」と指摘。マネジメントの工夫を呼び掛けている。
テレワーカーが約2〜3割だと、特に孤独感につながりやすい
テレワークをしている社会人に、勤務中に生じる不安感の度合いを5段階評価で聞いたところ、平均値が最も高かったのは、テレワーカーが約2〜3割の職場(3.2点)。約4〜5割の職場(3.0点)、約1割の職場(2.9点)、約6〜10割の職場(2.7点)と続いた。
テレワーカーの勤務中の孤独感も同様に、テレワーカーが約2〜3割の職場(2.9点)が最も高かった。約4〜5割の職場、約1割の職場(ともに2.7点)、約6〜10割の職場(2.6点)と続いた。
テレワーカーが少ない職場などでは、在宅勤務中の人は上記の他に「出社する人の負担が増えないか不安」「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安」「自分には仲間がいない」といった感情を抱きやすいことが分かった。
テレワーカーが増えるごとに、出社する人の不満も増す
一方、出社している社会人に、勤務中に生じる疑念や不満の度合いを5段階評価で聞いたところ、平均値が最も低かったのは、テレワーカーが約1割の職場(3.0点)。以降、テレワーカーの割合が増すごとに、疑念・不満の度合いも増加。テレワーカーが約6-10割の職場の不満度は、最多の3.2点だった。
同僚がテレワークをしている中で出社している人は、上記の他に「同僚は仕事をサボッているのでは」「公正・公平な人事評価がなされているのか」「テレワーク中の同僚の気持ちを察しにくい」といった感情を抱きやすいことが分かった。
また、テレワーカーをマネジメントする上司も「業務の進捗(しんちょく)状況が分かりにくい」「トラブルが起こっていないか心配」「相手の気持ちを察しにくい」との不安を覚えがちとの結果も出た。
上司のマネジメントの工夫が不可欠
パーソル総合研究所は、社員の負の感情を緩和する上では、上司のマネジメントが重要であるとし、(1)テレワーカーのスキルや業務、キャリアの意向についてきちんと把握する、(2)遠隔での部下とのコミュニケーションを意識的に増やす、(3)出社する人のフォローも忘れない――といった工夫を呼び掛けている。
調査は3月9日〜15日に、全国で正社員として働く20〜59歳の男女を対象にインターネット上で実施。テレワーカー(1000人)、同僚がテレワークをしているが、自身は出勤している人(1000人)、テレワーカーをマネジメントする上司(700人)の計2700人に意見を聞いた。
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