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“密”な状態を検知するAI、東芝が開発 群衆の人数を高速カウント、一般的なPCで稼働
東芝が、カメラに写っている群衆を高速で解析し、その人数を計測できるAIを開発。一般的なPCのCPU上で稼働するため、GPUなどの高価な演算装置が不要。独自の深層学習手法を用いており、1分間に約180台のカメラ画像を処理できる。
東芝は6月12日、カメラに写っている群衆を高速で解析し、その人数を計測できるAIを開発したと発表した。一般的なPCのCPU上で稼働するため、GPUなどの高価な演算装置が不要な点が特徴。独自の深層学習手法を用いており、1分間に約180台のカメラ画像を処理できる。駅やイベント会場の安全管理などの用途を見込んでおり、2020年度中の製品化を目指す。
画像の中から混雑している箇所を検出し、ヒートマップ形式で密度を表示する機能も持つ。人が滞留、密集している場所が分かるため、新型コロナウイルス対策にも応用できるとしている。
従来の深層学習の手法では、映像を解析する際に、基準として一定の単位や尺度を設け、それを満たす被写体を人間と見なしていた。そのため、カメラからの距離によって人物の大きさが変わると推定精度が低下する課題があった。
今回の東芝の手法では、CPUでの動作に適した独自の深層学習手法を用いた他、人物の大きさの変化に対応する技術を導入。群衆とカメラの距離を問わず、人数を正確に計測できるようにした。
精度を検証するため、大学などが公開している画像のデータセット300枚をこのAIで解析した結果、人数の誤差は14.7%。従来型の手法(16.0%)から改善したという。
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