トヨタ、人体モデル「THUMS」無償公開へ 筋肉や内蔵もモデル化、衝突実験のシミュレーションに
トヨタ自動車は、独自に開発したバーチャル人体モデル「THUMS」(サムス)を、来年1月から無償公開する。クルマの衝突事故が起きた際、乗員や歩行者の傷害をコンピューター上で解析するためのモデルで、ダミー人形を使った衝突実験より精密な解析が、低コストで可能になるという。
トヨタ自動車は6月16日、独自に開発したバーチャル人体モデル「THUMS」(サムス)を、来年1月から無償公開すると発表した。クルマの衝突事故が起きた際、乗員や歩行者の傷害をコンピューター上で解析するためのモデルで、ダミー人形を使った衝突実験より精密な解析が、低コストで可能になるという。ユーザー自身でTHUMSに改良を加え、その成果を他のユーザーと共有することもできるようになる。
トヨタが豊田中央研究所と共同で開発し、2000年にVersion 1をリリースしたモデル。その後も改良を繰り返し、骨格や脳、内臓、筋肉などを精密に再現した。歩行者モデルと乗員モデルがあり、男性や女性、小さな子どもや、小柄の女性、大柄の男性など体格の異なるモデルを収録している。
人体の形や強度の再現度は、衝突安全試験に広く利用されるダミー人形より高いため、衝突による傷害がより詳細に解析できるという。何度使っても傷むこともないため、さまざまな衝突パターンを模した解析を繰り返し行え、衝突実験にかかる開発期間や開発費を大幅に抑えられるとしている。
これまで100以上の自動車メーカーや部品メーカー、大学、研究機関などで、シートベルトやエアバッグなどの研究・開発に活用されてきたという。無償公開を通じ、自動運転車の開発の現場などでも利用してもらうことも想定。「より幅広いユーザーにTHUMSを活用いただくことで、クルマの安全性能向上に貢献したい」としている。
無償公開に伴い、THUMSのライセンス販売は年内に終了する。
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