Facebook、初めてトランプ陣営の広告を削除 「ナチスが使った記号表示はポリシー違反」
Facebookがメディアからの批判を受け、初めてトランプ陣営の広告を削除した。赤い逆三角の記号はナチスが政治犯に使ったものであり、「組織的な差別に対するポリシー違反」に当たるとしている。
米Facebookが6月18日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領の選挙広告を初めて非表示にした。「組織的な差別に対するポリシー違反のため」としている。
非表示になった広告には、赤い逆三角形が使われている。米メディア上の虚偽情報を監視する非営利団体Media Matters for Americaなどが、この記号はナチスが強制収容所で政治犯の囚人服にラベリングした記号だと指摘した約1時間後、非表示になった。
非表示になった広告は、同社の広告ライブラリで見ることができる。同日掲載され、削除されるまでに18万〜20万回表示された。
広告の内容は、「極左組織のANTIFAが暴動を起こしているので、トランプ大統領と共に彼らに立ち向かおう」というもの。ANTIFAをテロ組織と宣言することを支持するために署名を求めている。
トランプ陣営はTwitterアカウントで、この記号は単なる絵文字だし、「ANTIFAがよく使っているものだ」と主張した。
だが、米NBC Newsのブランディ・ザドロズニー記者がツイートで指摘しているように、ANTIFAは赤い逆三角形を「よく使って」はいない。
本稿執筆現在、マーク・ザッカーバーグCEOはこの件について特にコメントはしていないが、同社のAI責任者でFacebook App担当副社長のヤン・ルカン氏が自身のFacebookアカウントで「Facebookは、人種差別的なシンボルに対するポリシーに違反しているとして、トランプ陣営の広告を削除した。(中略)この広告が削除された理由は虚偽だからではないが、とんでもない嘘でもある。ANTIFAはトランプ氏が恐怖を煽るために作り出した存在しない組織であり、使い古されたファシストの誤情報技術だ」と語った。
Media Matters for Americaは、「この広告はそもそもFacebookのポリシーに違反しているにもかかわらず承認された。Facebookが自ら決めた基準を満たせていない例は他にもある。これは、彼らに能力がないか、(広告主と)共謀しているかだろう。いずれにしても憂慮すべきことだ」としている。
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