はんこはなぜいまだに必要? 電子契約も手掛ける法律系メディア「弁護士ドットコム」に聞く:サダタローの「ニュースゆる知り!」(3/3 ページ)
はんこは本来どんなシーンで必要で、どんなシーンなら不要なもの? 漫画家サダタロー氏が、電子契約事業も手掛ける法律系メディア「弁護士ドットコム」の取締役、橘大地さんに詳しい話を聞きました。
「脱はんこ」は政府と大企業が旗振り役に
一般的にはんこが求められるシーンというと、会社であれば社内の書類提出や、会社間での契約締結、生活の中では荷物の受け取りや行政への書類提出時などが挙げられます。
しかし、弁護士ドットコムの橘さんは「行政との契約にははんこが必要となることが多いものの、民間同士の契約には必須ではありません」と指摘します。
「日本にはんこ文化(印鑑登録制度)が根付いたのは明治時代。当時は識字率が低く、読み書きできなくても自分であることを示せるはんこは画期的なイノベーションでした」(橘さん)
今でも多くのシーンではんこが見られるのは、その頃から続く商慣習だといいます。
では、脱はんこ、特にテレワークを進めるに当たって電子契約化していくにはどんなハードルがあるのでしょうか。
橘さんは、「電子化に伴う業務プロセス変更にかかる労力」と「取引相手の理解」という2つの問題を挙げますが、一方で昨今のテレワーク推進の流れの中で、IT系を中心に一部の大企業が電子契約化を宣言していることが追い風になっているとも指摘します。
大企業が「電子契約でしか受け付けない」と宣言すれば、取引のある企業もそれに応じて電子契約に対応できるように変わっていかなければいけません。
政府も、コロナ禍の中で日本企業のIT化を推し進めるべく「eシール」という電子認証の運用を2022年度から始めると発表するなど、官民で電子契約化の流れは加速しています。6月19日には、政府からも「特段の定めがある場合を除き、押印しなくても契約の効力に影響は生じない」とする見解が発表されました。
「ニューノーマル」や「行動変容」「新しい社会様式」が叫ばれる昨今。電子契約は意外と早く広まっていくかもしれません。
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