「Apple News」からNew York Timesが撤退「読者との関係構築に不向き」
Appleのニュースサービス「Apple News」に立ち上げ当初から記事を提供してきたNew York Timesが、記事を引き上げると発表した。ほとんど収入に繋がらず、読者との関係構築の手段にもならなかったとしている。
米New York Timesは6月29日(現地時間)、米Appleのニュースサービス「Apple News」への記事提供を停止したと発表した。
New York Timesは撤退の主な理由を「Appleはわれわれが読者との直接的な関係を構築する手段も、ビジネスを管理する手段も与えなかった」としている。今後は読者を自社のWebサイトやモバイルアプリに直接誘導し、「質の高いジャーナリズムに資金を提供」できるようにすると語った。同社のサブスクリプションユーザー数は5月、600万人を超えた。
Apple Newsは、2015年に「iOS 9」の新機能として追加された、さまざまなニュースコンテンツを閲覧できる無料アプリ(日本では提供されていない)。
New York Timesは立ち上げ段階からApple Newsに記事を提供してきた。同社は、当時は「Appleが出版社と協力してビジネスを構築すると楽観視していた」が、「アプリは世界で最も広く読まれるニュースサービスの1つになったが、出版社にはほとんど収入をもたらさない」と指摘する。アプリ経由でメディアを購読(サブスクリプション)する場合、Appleが30%の手数料を徴収する。
また、Appleが昨年3月に立ち上げた月額9.99ドルの「Apple News+」の収益の半分はAppleのもので、残りを数十社の出版社が分けるため、収益はあまりないという。
米Facebookへの有償での記事提供と、Googleニュースでの記事表示は今後も続ける。「Apple Newsは読者をAppleのアプリ内に留めるが、Googleニュースは読者をWebサイトに誘導する」。
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