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ファミマが導入する「商品陳列ロボ」は何ができるのか

ファミマが今夏から、ロボットベンチャーのTelexistence製の遠隔操作ロボットを一部店舗に導入。店員が離れた場所からロボットを操作し、ペットボトルやカップラーメンなどの検品、陳列作業を行う。店員の動きをロボットに学習させ、作業を自動化する計画もあるという。

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 ファミリーマートが、今夏から遠隔操作ロボットを一部店舗に導入する。「コンビニ店員がテレワークできる」と話題を呼んだこの施策。どんな仕組みで、実際に何ができるのか。ファミマと、ロボット開発元のTelexistenceに聞いた。

 ファミマが導入するロボットは、店員が離れた場所から操作し、ペットボトルやカップラーメンなどの検品、陳列作業を行えるもの。今夏をめどに都内の店舗で配置を始め、2022年までに最大20店舗に導入する計画。ロボットの数は1店舗につき1台の予定だ。

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Telexistenceが開発した遠隔操作ロボットの「MODEL H」。ファミマに導入するロボットは、これとは異なる新しいものになるという

 Telexistenceの富岡仁CEOによると、ファミマに取り入れるロボットは、既存の機種ではなく「小売業界に最適化した新しいものになる」という。 現時点では機能やデザインなどの詳細は非公開。

 ロボットを使った商品陳列の手順はこうだ。店員がVRヘッドセットと手袋型のコントローラーを装着すると、ヘッドセット画面に店内の棚や商品が映し出される。実際の作業を同じ動きをすれば、ロボットがその通りに動き、店内の棚に商品を並べる。

 遠隔操作に当たって、ロボットの専門知識は不要。コンビニで商品を検品、陳列した経験があれば、誰でも動かせるという。

 距離の制約もなく「インターネット環境さえあれば、店舗との距離や場所を問わず、どこでもロボットを操作できる」(ファミマ広報)としている。

 店員の動きはデータ化し、クラウド型の管理基盤「Augmented Workforce Platform」(AWP)に蓄積。ある程度データがたまった段階で、ロボットの制御システムに機械学習させ、人間と同様の動きを自動化する計画だ。

 ただ、ミネラルウォーター「い・ろ・は・す」の容器など、ペットボトルの一部は、飲んだ後に捨てやすいよう、強く握ると形が崩れるものもある。そのため、ロボットが全ての商品を同じ力でつかむと、容器が変形する恐れがある。そこでファミマが導入するロボットは「商品ごとに適切な力の強さを学習させる」(富岡CEO)という。

 両社は新型コロナウイルスの感染拡大前から協業に向けて準備を進めていたという。こうした取り組みによって、店舗の省人化や、店舗の立地に制約を受けないスタッフの採用、稼働を目指す。

 Telexistenceはファミマ以外の企業とも組み、小売業界でのロボット活用を支援する方針。9月にはローソンと共同で、店員が遠隔操作ロボットで弁当やおにぎり、パスタ、飲料などを陳列する店舗を東京都港区にオープンする予定だ。

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ローソンもTelexistenceのロボットを使った店舗をオープンする

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