HoloLensでマンションの外壁検査 報告業務を半分に 長谷工と日本MSらが開発
マンションの外壁タイル打診検査のためのMRソリューション「AR匠RESIDENCE」を長谷工などが開発。作業員が「HoloLens 2」を装着し、点検記録を行う。
長谷工コーポレーションなどは7月6日、マンションの外壁タイル打診検査向けMR(複合現実)ソリューション「AR匠RESIDENCE」を開発したと発表した。現場の作業員がMicrosoftのMRヘッドマウントディスプレイ(HMD)「HoloLens 2」を装着して点検記録を行うことで、作業全体を効率化できるとしている。
従来の打診検査では2人1組となり、1人が打診検査、もう1人が図面を持ちながら外堀の浮きやクラックを手書きで記録していた。現地で写真撮影を行い、作業後には報告書を作成する必要もあった。
AR匠RESIDENCEではこれらの業務を簡略化。HoloLens 2を装着し、打診検査をしながら検査項目を入力するだけで、クラウドサービス「Microsoft Azure」に情報が保存され、報告書も自動生成できる。検査人数は1人で済むという。
長谷工とアウトソーシングテクノロジー、日本マイクロソフトが共同開発した。長谷工が6月に行った実証実験によると、現地での作業量自体は変わらないが、報告書作成業務がほぼ半減したことから、全体業務の約30%を削減できたという。
マンションの外壁は、劣化によるはく落リスクがあることから、10年ごとにタイル貼り、石貼り、モルタルなどの全面打診調査を行うことが義務付けられている。「建物維持やメンテナンスに対応する労働者不足や昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からも、建物診断時のファーストラインワーカーを極力減らすことが可能なことから、マンションの建物診断に先端技術であるMRを導入した」(長谷工)としている。
まずは長谷工リフォームが建物診断を行う関東地方で7月から導入し、全国への展開を進める。年内には、アウトソーシングテクノロジーが他の建設、リフォーム会社への販売とトライアル運用を始め、不動産業界の生産性向上を目指す。
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